8月19日のメットライフドームで、ほっこりする場面に出くわした。前日の18日に左背筋肉離れから復帰した日本ハム杉谷拳士内野手(27)が、球場入りして真っ先に向かったのは、敵地の放送室。扉を開けるなり「お誕生日おめでとうございます!」と、持ち前の大きな明るい声が響いた。

この日は「杉谷いじり」で一部ファンの間で有名となった西武のウグイス嬢、鈴木あずささんの誕生日だったのだ。「誕生日と日本ハムの試合日が重なることは、なかなか、ないですからね。日頃の感謝を込めて、ジルスチュアートのボディークリームをプレゼントしました」と杉谷。この日の時点でチームは2位。首位西武との直接対決でひりついていたムードが、ちょっぴり和んだ。

試合前のフリー打撃の際、「ただいま、杉谷選手がバッティング練習を行っております」と、ユーモアたっぷりに個人紹介をしてくれる、この場内アナウンス。「プロ10年目の杉谷選手は、まだまだ成長期。皆様、杉谷選手の打球には十分ご注意ください」と、時々ディスりながらも、東京都練馬区出身、西武線沿線で育った杉谷への愛情が伝わって、聞く者を笑顔にしてくれる。その瞬間、歓声と拍手を送るファンの間に、敵味方はない。

2014年10月から始まり、今年で4年目。杉谷は「野球にまったく興味のなかった地元の同級生が、練習から見に来てくれるようになりましたね。皆様も喜んでくれていますし、うれしいです」。ありったけの感謝を、ギフトに込めた。【日本ハム担当 中島宙恵】