殻を破ったシーズンだった。阪神陽川尚将内野手(27)は6月3日、1軍に今季初昇格すると、西武戦(メットライフ)に即スタメン出場。1号アーチを含む2安打4打点と結果を残した。そこから一時は4番を務めるまでに飛躍し、出場75試合で打率2割5分2厘、6本塁打、48打点。打撃各部門で自己最多を大きく更新した。

そんな陽川を心から応援する人がいる。2軍を担当する新井良太育成コーチ(35)だ。「一、三塁を守る者として外国人選手との競争は宿命。陽川の野球に取り組む姿勢は知ってるし、チャンスをものにしてほしい」。現役時代は自身も陽川とポジションを争うライバルだった。炎天下の鳴尾浜で競い合うようにバットを振り、その一方で何度も食事を共にする仲だった。昨季限りで現役を退き、今季から指導者へ。シーズン中は「陽川が1軍で食らいつく姿に、2軍にいる他の選手たちも刺激を受けて相乗効果になる」と語っていた。

「来シーズンも結果にこだわって、チームの力になりたい」と陽川。新井コーチの熱いエールと鳴尾浜で流した汗を糧に、来季はさらなる輝きを放つ。【阪神担当 吉見元太】

阪神新井良太2軍育成コーチ(2018年10月15日撮影)
阪神新井良太2軍育成コーチ(2018年10月15日撮影)