プロの世界は厳しい。

巨人宮国椋丞投手が秋季キャンプの「投手キャプテン」に任命された。ある日のブルペン。投球練習をする宮国に指導した原監督がこうつぶやいた。「もう若くないんだからね」。

26歳。一般的な社会人であれば、まだまだ若手かもしれない。だが、現実は厳しい。本紙ウェブサイトによると、今秋に戦力外通告を受けた全106人中51人が26歳以下だった。高卒なら8年、大卒なら4年で26歳シーズンを終える。ドラフト上位も下位も関係なく、結果で判断される。

高卒でプロ入りした宮国は今季で8年目。全てリリーフで29試合に登板し、防御率1・97の数字を残した。だが、9月11日に登録を抹消されてから、1軍のマウンドへ戻って来られなかった。

3年目の13年に、当時20歳で開幕投手も務めたほどの実績が期待を高める。比例するように、周囲の目を厳しくさせる。今キャンプメンバー全34人中(左膝負傷で帰京した育成の巽を含む)25人が25歳以下。「若い選手がたくさんいますし、自分も若くないので。引っ張っていけるように自覚をやらないといけない」。置かれた立場は十分理解している。

10月28日、原新体制2日目の秋季練習。ジャイアンツ球場のブルペンで原監督、宮本投手総合コーチから熱血指導を受け、肘をやや下げたフォームに挑戦した。原監督は「『ニュー椋丞になろうな』と言った。やっぱり挑戦させないと。どちらかというとのんびり屋さんだからね。自分の持っているものの大きさを忘れるケースがある。潜在能力起きろ、という感じでたたいてあげないといけないね」と期待の表れだと強調。その後もブルペン投球の度にフォームを逐一チェック。細部まで指導を加えている。

宮国もタダでは終われないと鼻息を荒くする。「新体制なのでまたアピールできるチャンス。今年みたいな悔しいシーズンは過ごしたくない。期待に結果で応えないと意味がない。『来年ダメなら終わり』という覚悟でやっていきます」。来年で27歳。1年でも長くチームに必要とされる投手であるために、死にものぐるいで腕を振る。【巨人担当 桑原幹久】