東日本大震災から7年9カ月となった11日、楽天今江年晶内野手(35)が福島・いわき市を訪れた。ロッテ時代から8年連続の訪問で「日本全体で風化してきている感じもある。僕が来ることを取材してもらうことで(現状を)知ってもらうきっかけになれば」。朝一番で同市の清水敏男市長と面会し、沿岸部の復興の進捗(しんちょく)状況を具体的に語り合う姿は、継続的な活動の証しだ。

今年も予定する千葉県子ども病院への訪問は13年目。09年に母寿美子さんが、がんで亡くなった。間近で見た闘病は過酷だった。「大人でもあんなに苦しいのに…」。NPO法人「ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ」の理事を務め、1打点につき1万円を積み立てる。小中学校で子どもたちに説いた「続けることの大切さ」に重みが宿る。

いわきワイナリーを訪れた際には財布を取り出し「これ、買って帰ります。皆さんにもぜひ」。梨のスパークリングワインを自腹でお土産として購入し、同行する記者らに1本ずつプレゼントしてくれた。ファンから「あと339本、頑張ってください」と声をかけられるひと幕もあった。通算2000安打の金字塔。心優しき男の思いを、毎年触れ合ってきたいわきの人たちは分かっている。【亀山泰宏】

福島・湯本一小の4年生と笑顔で記念撮影する今江(撮影・亀山泰宏)
福島・湯本一小の4年生と笑顔で記念撮影する今江(撮影・亀山泰宏)