記憶をよみがえらせながら、見ていた。マスコミ向けのDeNA公式ドキュメンタリー映像「FOR REAL-遠い、クライマックス。-」(14日公開)試写会では、シーズンを戦う監督、コーチ、選手たちの素顔が描かれていた。開幕戦直前、横浜スタジアムのロッカーで鼓舞する主将の筒香嘉智外野手の姿があった。

シーズンの要所で、チームの意思統一を図るキャプテン。ある試合前練習のとき、ベンチ前で「そろそろやるの?」とたずねると「いや、まだ必要ないと思います」と答えたときがあった。チームの空気を感じ取りながら、ここぞというところで引き締める。筒香にしか分からないタイミングで、そのとき、その状況を見極めて言葉を選び、仲間に伝えるのだ。

映像は昨年、一昨年に比べると、クライマックスシリーズ進出を逃し4位で終えたシーズンとあって、全体的に“暗め”なトーンだった。確かに、シーズンを終えた契約更改会見でも悔しさを口にする選手がほとんど。ここ2年を知る選手が多いからこそ、ポストシーズンまでたどり着けなかった悔しさが、リアルにそのまま描かれている。

映像製作に携わった球団関係者が言っていた。「むりやり明るくすることだってできるけど、それでは真実ではないですし、優勝したときに『こういう時期を乗り越えてここまできたんだ』って思えるものにしたいんです」。選手も球団も、この悔しさを胸に刻み、忘れるつもりはない。【DeNA担当 栗田成芳】