知らない電話番号が、スマホ画面に映し出された。DeNA網谷圭将内野手(21)は戦力外を通告された後も、現役続行に備えて練習を続けていた。10月14日、練習を終えた午後だった。電話の向こう側から「元気? 大丈夫?」と聞き覚えのある声。「ラミちゃんです」。アレックス・ラミレス監督本人からの直電に驚いた。

網谷 まさか監督から電話がかかってくるなんて。電話したこともなかったし、番号を交換したこともなかったんで。

育成2年目の17年、チーム第1号を放ったのは、網谷だった。バットコントロールを評価され、育成では異例とも言える1軍キャンプスタート。その初実戦となった阪神との練習試合で、バックスクリーンへアーチを描いた。1歳年下の細川とのアベック本塁打に、指揮官の喜びもひとしおだった。そんな期待をかけた選手だったから、ラミレス監督も心配だったのだろう。夫人の通訳でエールを送った。

新天地は社会人野球のヤマハに決まった。育成での3年間は無駄じゃなかったと胸を張る。自由契約が決まった後、向かった先は神宮球場だった。東京6大学野球を見て、今の自分の立ち位置を確認した。「この道に後悔はない。まずは都市対抗で活躍できるように頑張りたい」。新たな目標を見据え、その先には「またプロに戻ってこられるように頑張りたい」と、いつか再挑戦できる日を思い描いている。【DeNA担当 栗田成芳】