あいにくの雨でこの日、ソフトバンク1、2軍の2試合が流れた。オリックスとのオープン戦は試合開始10分前の中止決定。スタンドは満席だっただけに、雨に打たれて待ち続けたファンの落胆も大きかったろう。2軍は韓国プロ野球の斗山ベアーズとの練習試合が第2球場で組まれていたが、練習後には中止が決まった。天気ばかりはどうしようもない。

ファンのみならず、関係者も恨めしげに雨空を眺めた。斗山の金泰龍球団団長も残念顔だった。スマホを取り出し、何度も雨雲レーダーに目を凝らしていたが、雨脚は弱まらなかった。「雨男ですかね。残念です」。金団長はそう言って笑った。

ホークスにとっては“恩人”でもある。ホークスは3軍制導入にあたって、12年から韓国プロ野球(KBO)の2軍チームとの試合を計画。当時、金団長はKBOの団長会議(日本の実行委員会にあたる)で各団長を説き伏せてくれた。「最初は反対が多かった。でも、3軍と言ってもレベルは高い。韓国と日本のプロ野球向上のためにはいいこと」(金団長)と、ホークスの韓国遠征を後押した。今季も遠征は続けられる予定で、育成選手らの貴重な「国際試合」経験の場ともなっている。

斗山は昨シーズン、93勝を挙げリーグ1位になりながら、韓国シリーズでSKに敗退。ホークスはリーグVを逃しながら、日本シリーズを制覇した。ともに強豪でありながら「雪辱」が合言葉のチームである。「いずれ日韓シリーズやったらいいですね」。金団長は言った。アジアシリーズがなくなって久しい。日韓のチャンピオン同士の対決…。本気で取り組んだらどうだろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】