菊池雄星にとって、大谷は発奮材料だった。西武時代の17年。試合前に後輩があいさつに駆け寄ってきた。

大谷 よろしくお願いします。

菊池 おっおっ、おう。よろしくね。

どちらが先輩か分からないような、ぎこちない? 会話が交わされたが、大谷が去った後、うれしそうに言った。「ようやく大谷も認めてくれたんですかね。こっちまであいさつに来てくれましたよ。びっくりしましたよ!」。

菊池は前年に初の2ケタ勝利を挙げ、この年もチームの柱として勝ち星を重ねていた。これを「認めてくれた」と冗談っぽく評し、あいさつの“変遷”を説明してくれた。「(大谷の)1年目は今日みたいな感じだったんですよ。それが3年目くらいからですかね。目が合ったら手を挙げて『こんにちは』って感じで。だから今日はすごい進歩です」。

大谷が不遜な態度をとっていたわけでないことは、当然分かっていた。菊池の満面の笑みから容易に察することができる。かわいい後輩であり、尊敬するプレーヤー。メジャーの舞台でのうれしい再会は、菊池をまた、発奮させたに違いない。【佐竹実】