衛星多チャンネル放送「スカパー!」が2月に行ったインターネット調査によると、ファンが12球団で最も好きな監督は日本ハムの栗山英樹監督(58)だという。5月8日のオリックス戦(札幌ドーム)で通算527勝目を挙げ、前身の東映を初の日本一に導いた水原茂元監督の勝ち星を抜いて、球団歴代2位となった。526勝の際は「僕、何もしていないので。選手が勝たせてくれているので感謝しかない」と、申し訳なさそうに眉を下げる姿が、なんとも栗山監督らしく謙虚で人柄をしのばせた。

元日本ハム監督で、晩年は球団代表も務めた三原脩氏や水原氏の生きざまにほれ込み、背中を追い続ける。両先輩の話題になると、目が尋常じゃないくらいキラキラと輝くのだ。

栗山監督 ずっと憧れて、本を読んで、なんとか近づきたい、大先輩たちに「ちゃんと、やりなさい」と、怒られないようにしようと思ってやってきた。

革新的な選手起用や戦法を恐れなかった「魔術師」三原と、大胆ながら緻密な策を打ったという「勝負師」水原。両氏とも、多くのファンを魅了した名将だ。今季の栗山監督の采配を見ても、先発型の投手2人をつぎ込む「ショート・スターター」や、三塁手を右翼手の前に配する守備シフトなど、プロ野球草創期を支えた2人の精神が息づいているように思う。

栗山監督の夢は、あの世で憧れの2人に会い、話をすることだそうだ。「いつか『野球って面白かっただろ』と言ってもらえるように、やるしかない」。球団の勝利数ナンバーワンは、“親分”こと大沢啓二氏の631勝。来季にも達成可能な数字だが、きっと監督は、また「光栄すぎてリアクションに困っちゃう」と、照れくさそうにするんだろうなと思う。【日本ハム担当 中島宙恵】