竜のフラミンゴがもがいている。昨オフに育成契約から支配下登録された渡辺勝外野手(25)だ。

中学時代に王貞治氏を育てた荒川博氏(故人)が主催する「荒川道場」で一本足打法を伝授。東海大相模(神奈川)では1年からレギュラーを獲得し、11年のセンバツでは優勝も経験した。

彼が高校時代から続けるルーティンは素振り。当時から、けさ懸けに左上段から振り下ろす素振りを取り入れている。打撃フォームとは異なるが「僕のバロメーター。これで育成から上がれたんです」と話す。

今季の春季キャンプでは1軍に抜てき。オープン戦でも結果を残し、支配下昇格1年目で開幕1軍も手にした。5月1日の巨人戦(東京ドーム)では先発出場を果たし、高校の先輩菅野からヒットも放った。しかし1軍の壁は厚い。3日現在、24打数3安打1打点。2度目の2軍落ちでファームでもがいている。

90年代の中日のフラミンゴと言えば大豊泰昭氏(故人)だった。王貞治氏に憧れ来日、直接指導も受けた。94年には本塁打王と打点王に輝いた。大豊氏も一本足打法を極めるため模索していた。「右足を上げたときに足の甲の力を抜くと体幹が安定するんだよ」。階段を1つひとつ上がるたびに笑顔をのぞかせていた。

渡辺も、遠征中や帰宅後の部屋でルーティンの素振りを続けているという

まだ1軍では本塁打を記録していない。初アーチを描けたとき、もう1人のフラミンゴが見せる笑顔を取材する日が楽しみだ。【中日担当 伊東大介】

中日渡辺勝
中日渡辺勝