<西武4-2ソフトバンク>◇30日◇メットライフドーム

秋雨前線が居座った影響でソフトバンクは京都でのオリックス2連戦を雨で流した。ロッテに屈辱の3連敗を喫してから「4日間のブランク」を経て、敵地・所沢に乗り込んだが、2位西武に逆転負け。シーズン中では珍しい「中4日」の実戦に、ホークスナインも試合感が薄れたのだろうか? それは少々おもんぱかり過ぎかもしれないが、粘れなかったエース千賀といい、つながらなかった打線といい、いまひとつリズムに乗れない試合ではあった。

打線ならば「あと1本」、投球ならば「あの1球」、右翼席で声をからす鷹党にとっては何とも歯がゆい試合展開だった。そのあたりは試合後の森ヘッドコーチの言葉にも表れていた。「(得点の)シチュエーションはつくれたけど、あと1本がなかった。(千賀も被弾した)1球がもったいなかった」。首位攻防の白熱戦。大勝もあれば、大敗もあろう。だが、どんな試合でも「あと1本」「あの1球」の後悔は変わることはない。

ちょうど10カ月前。このメットライフドームでCSファイナルを勝ち抜いて「下克上」を果たしたホークスナインの背に西武辻監督のおえつが響いた。リーグVを達成しながら、敗将となった辻監督のファンへの屈辱のあいさつだった。「オレは忘れていないよ。しっかりと監督の言葉は覚えているよ」。参謀役である西武馬場作戦兼守備走塁コーチは言った。1年間の悔しさを肥やし続けて獅子は追ってきた。2年ぶりのV奪回を目指す工藤ホークスにとって、この「執念」の2文字が正念場に立ちはだかってきた。【ソフトバンク担当 佐竹英治】