ソフトバンクがキャンプを張る宮崎・生目(いきめ)の杜は雨となった。15日は土曜日とあって詰めかけた観衆は1万6300人。チームは室内練習場で汗を流した。紅白戦も当然中止。多くのファンが春雨に打たれ、無数の傘の花が開いた。

天気ばかりはしょうがない。だが、ファン以上に肩を落としたのは工藤監督だった。この日、甲斐野が右ひじ痛で離脱。左ふくらはぎ裏を痛めた高橋礼とともに「開幕」は絶望的となった。ほおを濡らす雨以上の痛恨事である。工藤監督、森ヘッドコーチともに「とにかく早く治すこと」と気持ちを切り替えていたが、順調に見えたキャンプが終盤に入って厳しい現実を突きつけられることとなってしまった。

それにしても「8回の男」は受難である。17年岩崎、18年加治屋、そして昨年の甲斐野…。3年連続して故障に見舞われた。球団では故障防止は今季の最大のテーマ。昨年の故障禍の反省から「トレーナー&コンディショニング」の強化を図った。両部門を統括するディレクターを配置。トレーナーも3人増員し23人体制となった。1、2、3軍、リハビリ組の情報共有の迅速化も図ってきた。それでも故障は起きる。完璧なケガ防止は難しい。まだまだ大きな課題と向き合わなければならない。

「シーズン70試合というのはやはり厳しかったと思う」。右ひじ痛に悩まされた岩崎は振り返る。17年岩崎は72試合、18年加治屋も72試合、昨年の甲斐野は65試合だが、CS、日本シリーズ、侍ジャパン招集を含めると計78試合に登板した。「8回の男」は「勝利の方程式」の一角を支える重要なポジション。今後の負担減に向け「登板過多にならないためには中盤までの得点力を上げることも1つかもしれない」と森ヘッドコーチは思いを巡らせた。何とか負の連鎖は今季限りで断ち切ってもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

雨のため、はんぴドームに向かう高橋礼(撮影・今浪浩三)
雨のため、はんぴドームに向かう高橋礼(撮影・今浪浩三)