今季限りでソフトバンクを退団する内川聖一内野手(38)が1日、2軍の最終戦となるウエスタン・リーグ阪神戦(タマホームスタジアム筑後)に3番一塁で先発出場した。3打席無安打に終わり、「ホークス内川」最後の試合で快音を響かせることはできなかった。

スタンドに向かって手をふる内川(撮影・梅根麻紀)
スタンドに向かって手をふる内川(撮影・梅根麻紀)

ソフトバンク内川がホークスのユニホームを脱ぎ、新たな野球人生を歩むことになった。

こう書けば、何か晴れやかな感じもするが、個人的に割り切れないものがある。1年1年が勝負のプロ野球界。終身雇用が約束されているわけでなく「弱肉強食」「自然淘汰(とうた)」の厳しい社会。「別れの秋」は毎年、どんな選手にもやってくる。ただ今回は、ファンにも疑問が残ったままの「退団劇」だったのではないだろうか。

新型コロナウイルスの感染拡大で、開幕が遅れた。6月の開幕直前に打撃不振だった内川は開幕メンバーから外れ、2軍スタートを余儀なくされた。その後打撃も復調し、2軍戦でも3割を超す数字を残しながら1軍に呼ばれなかった。いつまでも内川らベテラン頼りでは、世代交代が進まない。若手登用、新戦力の発掘へ球団が大きくかじを切るのは、「常勝チーム」を作っていく過程で難しい仕事ではある。しかしこの数カ月の間に、両者はしっかりとコミュニケーションを取っていたのだろうか。

ウエスタン・リーグの全日程を終え、ファンにあいさつをする内川(撮影・梅根麻紀)
ウエスタン・リーグの全日程を終え、ファンにあいさつをする内川(撮影・梅根麻紀)

シーズン中、内川の1軍昇格について報道陣から問われた工藤監督は、2軍から推薦がないと話していたが、もっと積極的に内川自身と「対話」してほしかった。チーム常勝の功労者である。だから他の選手より優遇せよ、と言っているのではない。そういう選手とソフトな語り合いができないくらいに、とげとげしくなっているのだろうか。

何で内川はチームを去るのか。素朴な疑問は消えない。何も解決していない結末のようにも感じてしまう。【ソフトバンク担当 佐竹英治】