バットを折りながら、京セラドーム大阪の右翼フェンスギリギリまで飛ばした。開幕9試合目で初めてスタメンを外れた阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)は6回2死満塁で代打で登場すると、初球から2球ファウルを打つなど、積極性と自分のスイングを貫く姿勢が変わっていないことに驚いた。2号を放った1日の広島戦後、振ることにためらいはないのかと問われ「それはあまりない」とハッキリ答えている。ここまで33打席に立ち、16三振。三振率48%とほぼ半分だ。

記者はソフトバンクを12年から8シーズン担当させてもらった。12年、13年ごろ、柳田がまだレギュラーに定着していない時期に「三振したくなくて、当てにいってしまうんですよね。ゴミっス」と言っていたことを思い出した。結果を欲しがって、構えも打撃そのものも小さくなり、当時の藤本打撃コーチ(現2軍監督)と二人三脚で、バットを振り込んでいた。そんな時期を乗り越え15年は101三振、18年は105三振しながらも首位打者を獲得し、球界を代表する打者となった。

佐藤輝の本心は分からないが、この日の試合前練習ではスタッフに動画を撮影してもらいながら、フリー打撃を行い、京セラドーム大阪の中堅5階席にたたき込むなど、微調整しながらも自分のスタイルを貫いていた。シーズン最多三振ワースト5のうち4度は近鉄ブライアント。ワースト1位の93年は127試合、550打席で204個。それでも三振率は37%。107打点、42本塁打で2冠王に輝いている。ワースト4位には19年、高卒2年目のヤクルト村上が184三振(143試合)しているが36本塁打を放っている。研究熱心な佐藤輝なら、フルスイングのまま相手の厳しい攻めを克服する日が来るだろう。【阪神担当=石橋隆雄】