また1人、日本ハムにスピードスターが加わった。19年育成ドラフト1位の宮田輝星(ほくと)外野手(23)が8月31日、支配下選手契約を勝ち取った。「日本ハムは12球団で一番、外野の層が厚い」と見据えていた高い壁を越えるため、走攻守の中で最大の武器「足」で猛チャージをかけた。

宮田 バッティングと違って「足」は計算できるもの。そこを売り出すためには、どうすればいいかやってきました。

確固たる信念のもと、1年目の昨季はファームでチームトップ13盗塁を残した。盗塁王3度の西川に質問攻めしたり、現役時代は同じ外野手で両打ちだった栗山監督にも物おじせず、話を聞こうとする貪欲な姿勢も魅力の1つ。「ビビることなく、挑戦者の気持ちを忘れずにシーズン最後まで戦っていきたい」と、あふれんばかりの自信をまとい再スタートを切った。

支配下登録の期限が迫っていた7月下旬、東京五輪が開幕。女子マラソン代表の一山麻緒(24=ワコール)とは同じ鹿児島県出水市出身で、中学、高校の同級生だった。代表内定時に連絡したものの「すごくサッパリしているタイプ。ストイックな感じのやつなので、まだ最後の追い込みだし、連絡はしないほうがいいかな」と静かにエールを送ってきた。

鹿児島・出水中央高では3年間、クラスメート。1度だけ、対決する機会があった。宮田が所属する野球部と、一山の女子駅伝部が出水市の駅伝に出場した。一山と同区間を走ることはなく、野球部が勝利も「最後の最後まで、ずっと競っていた」。一山は、野球部イチの俊足とデッドヒートを展開したという。100メートルの自己ベスト10秒9の宮田は「長距離では勝負したくないです。負けん気も強いので、ちょっと嫌です」と、当時を懐かしみながら笑った。

一山は、東京五輪で8位入賞を果たした。女子マラソン日本勢では4大会17年ぶり入賞の快挙。宮田は「(レースの)最後までいってくれたら、いい勝負するんじゃないかな。最後までいってくれたら気持ちで何とかなるんじゃないかな」と確信していた。日の丸を背負って戦った同級生の姿に、確かに刺激を受けた。今度は宮田が「足」で魅了していく。【日本ハム担当=田中彩友美】