現役選手の中での“キングオブタカハシ”は、ヤクルト高橋奎二投手(24)かもしれない。対タカハシ相手に絶対的な強さを見せている。今季“高橋ダービー”は3度経験した。6月24日広島戦では、高橋昂也との投げ合い。6回2/3を4安打1失点で2勝目を挙げた。次は、8月17日巨人戦で高橋優貴と。5回4安打2失点で勝ち負けはつかなかったが、チームは勝利した。最後は9日阪神戦。高橋遥人相手に、6回6安打3失点で、3勝目を挙げた。“対高橋”の試合は3戦不敗の成績となっている。

タカハシへの強さは、投手相手だけではない。今季、中日高橋周平と対戦し、4打数1安打。高橋3投手もすべて無安打に封じており、合計7打数1安打。打者に対しても強さを発揮している。

高橋姓の現役選手は11人。鈴木13人、田中12人に次ぎ、佐藤と並んで3番目に多い。「同じ高橋が相手」という意識はほとんどないだろうが、興味深い数字に表れた。

“直接対決”を制しているが、真のキングオブタカハシの座までの道のりはまだまだ残る。巨人高橋は現在リーグトップタイの10勝を挙げ、7勝の差がある。それでも高卒6年目の今季、本格化しつつある。

開幕ローテーションの座を逃したものの、6月13日の今季初マウンドから、コンスタントに先発登板。8登板中、6試合で6回以上自責3以内のクオリティースタートを達成した。安定感ある投球で、先発投手に定着した。ゆったりとしたフォームへの改造に成功し、課題の制球力が改善されていった。「ここ最近は自分のピッチングができている」と確かな手応えをつかんでいる。

150キロを超える直球で攻める一方で、チェンジアップなどの緩急で空振りを奪う投球スタイル。ヤクルトの左の次世代エースとして、寄せられる期待は大きい。これからもどんな投球を見せてくれるのか-。タカハシの投球が楽しみだ。【ヤクルト担当=湯本勝大】