<ソフトバンク0-7ロッテ>◇1日◇ペイペイドーム

ソフトバンクが月をまたいで3連敗を喫した。大勝負の9月戦線。痛すぎる黒星発進である。さらに打線もロッテ先発美馬の前に沈黙。2戦連続の「完封負け」となった。先発レイが2回、井上に先制弾を許すと、続く3回にも3失点。序盤で4点のビハインドを背負った。ホークスの今季の逆転勝ちは19勝。すべてが3点差以内。4点差以上をひっくり返したことはない。データ的に言えば、この時点で試合は終わったのだった。

このカード3試合の初戦(8月29日)の初回に2得点したのが最後。26イニング連続の0行進。敗軍の将・藤本監督の心中はいかばかりか。試合後、コロナ感染で離脱していたキャプテン柳田の昇格を起爆剤に、と思考を巡らせているようであったが、さすがに3連敗のベンチのムードは暗い。とはいえ、下を向いていても仕方がない。今日2日からは西武と本拠地ペイペイドームで首位攻防3連戦。一気に3連勝となれば、首位奪取と沈滞ムードの大逆転ともなる。

つのる悔しさは晴らさなくてはならない。そう言えば、孫正義オーナーはこんな例えで自らを叱咤(しった)していた。先月8日、ソフトバンクグループの第1四半期決算説明会。半年で約5兆円もの赤字となった。説明会の冒頭で孫オーナーは「顰(しかみ)像」と呼ばれる徳川家康の肖像画を持ち出し自身の心境と重ね合わせた。家康が「三方ケ原の戦い」で武田軍に大敗。命からがら敗走。悔しさを忘れないためにと、描かせた苦渋に満ちた顔の自画像である。

大きなマスクに覆われた藤本監督も奥歯をギシギシとかみしめたことだろう。開幕から言い続ける「泥臭く点を取る」というしぶとい攻撃野球の徹底が、最終コーナーを迎えた9月戦線のカギを握る。雪辱のタクトに期待したい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】