異色の経歴で入団した日本ハムのドラフト3位加藤豪将内野手(28=メッツ3A)の豊かな表現力に、いつも驚かされている。
昨年の秋季キャンプ打ち上げ、手締めで訴えた自分自身を信じる心。感動的なスピーチだけでなく、SNSでは一心不乱に食事中の清宮幸太郎内野手(23)の動画をアップし「ダイソンKK21コードレス掃除機 微細なお米やおかずまで99.95%捕集する」とコメントを添えるユーモアも。どうして、そんなに説得力のある言葉を見つけられるの? 本人に聞いてみた。
「野球人生で天国と地獄を味わって、それがあったから今の自分がある。自分の体験を、できるだけ多くの人にシェアしたいという気持ちが大きいんです」。米国生まれ、米国育ち。MLBドラフトでプロ入りし、長いマイナー生活を経て10年目でメジャーに初昇格。今度はNPBドラフトで自身のルーツでもある日本球界の扉を開いた。加藤豪の野球人生そのものが、唯一無二のドラマ。その過程で周囲から多く助言を得て、響いた言葉の数々を心のノートに書き留めてきた。
「誰かの助けになるのが好き」という。マイナー時代もチームメートのメジャー昇格が、うれしくてたまらなかった。競争が求められる集団で、その性格は優しすぎるかもしれない。「野球って10回のうち7、8回は打てないじゃないですか。だから、チームメートのハピネスを自分のハピネスと思わないと、ここまで出来ていないと思うんです。つらいことはあったけど、それが、何年も野球を続けられている理由です」。貴重な体験とポジティブな思考は、きっと日本ハムの若い選手にも好影響をもたらすはずだ。
将来は「本を書いたり、ジャーナリストになりたい」という夢を持つ。球団運営にも向いていそうだ。第2の人生に興味をかき立てられるが、まずは日本ハムでの活躍に期待。心のノートを珠玉の言葉で埋めて欲しい。【日本ハム担当=中島宙恵】