日刊スポーツ評論家の田村藤夫氏(61)が独自の視点からドラフト会議でのおすすめ指名候補を考える。第2回はパ・リーグ編です。

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ドラフト会議を占う上では、2軍の状況を念頭に置かなければならない。2軍で成長が見込める若手が、同じポジションに複数いるなら、そこは無理して指名する必要はない。また、1軍ではレギュラーが固定できても、数年先を見ると、2軍を含め手薄なポジションもある。2軍も視野に入れた中で、パ・リーグの補強ポイントを考えたい。

◆ロッテ 若い投手陣が育ってきている。今後も二木、岩下、佐々木朗らの成長が見込まれる。左腕の山下輝(法大)は地元千葉の木更津総合出身で、即戦力としての評価も高い。黒原拓未(関学大)や隅田知一郎(西日本工大)らも候補に入ってくるだろう。気になるのは捕手だ。2軍の顔触れを見ても捕手は補強ポイントになるのではないか。となると強肩強打の古賀悠斗(中大)を上位指名する可能性を感じる。

中大・古賀悠斗(2021年5月撮影)
中大・古賀悠斗(2021年5月撮影)

◆オリックス 得点力強化という点では野手を補強したいところだが、今年の指名候補選手を見ると、上位指名は投手ということになりそうだ。山本、宮城という左右のエース格がいるだけに、将来性ある小園健太(市和歌山)、風間球打(ノースアジア大明桜)、森木大智(高知)の高校ビッグ3も考えられる。

市和歌山・小園健太(2021年7月撮影)
市和歌山・小園健太(2021年7月撮影)

◆楽天 強力な投手陣で今季をスタートさせたが、開幕前の予想に比べると苦戦した感が否めない。投手陣を充実させるならば、椋木蓮(東北福祉大)、高校ビッグ3の一角の風間ら、出身地は東北ではないが、仙台、秋田で飛躍した素材の上位指名もあり得る。

東北福祉大・椋木蓮(21年6月撮影)
東北福祉大・椋木蓮(21年6月撮影)

◆ソフトバンク 選手層の厚さでは12球団で群を抜いているが、上位指名は投手が予想される。2軍にも150キロ台後半を投げる投手をそろえており、球威で今後も成長が見込める素材として、制球力含めて完成度が高い最速152キロの小園、同じく157キロの風間、154キロ右腕の森木の高校ビッグ3はほしいところだろう。

ノースアジア大明桜・風間球打(2021年8月撮影)
ノースアジア大明桜・風間球打(2021年8月撮影)

◆西武 補強ポイントは投手になるだろう。広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)、脇腹を痛めてはいるが能力としてはトップ評価の佐藤隼輔(筑波大)らの上位指名が妥当と言える。また、野手に関しては栗山、中村の年齢を見た時、さらに強打の野手も補強したい。全日本選手権で大きく評価を上げたブライト健太外野手(上武大)はスケールも大きく、俊足で強肩はチームカラーに合致する。さらにロッテと同じで今後を見据えた時、捕手も重要になってくる。古賀は候補に入ってくるだろう。

プロ注目の筑波大・佐藤隼輔(2021年1月撮影)
プロ注目の筑波大・佐藤隼輔(2021年1月撮影)

◆日本ハム チームのドラフト戦略には、その年の一番評価の高い選手を1位指名するという方針がある。そうなると競合もある中で、小園、森木、風間が候補になってくる。さらに地元の最速150キロ左腕・木村大成(北海)も完成度が高く、他球団の指名状況では上位指名の可能性を残す。(日刊スポーツ評論家)

北海・木村大成(21年8月撮影)
北海・木村大成(21年8月撮影)