田村藤夫氏(61)のフェニックスリーグ(宮崎)リポート4回目は、日本ハムの大卒ルーキー五十幡亮汰外野手(22=中大)を取り上げる。武器とする「足」での失敗と、「足」を生かすためのバッティングに取り組む姿勢を分析した。

10月2日、西武戦で二盗を決める五十幡
10月2日、西武戦で二盗を決める五十幡

五十幡の最大の特長は、100メートル10秒79のスピードだ。それを試合の中でどう使うのか観察した。

初回はヒットで出塁も、オリックス先発中川颯のけん制に刺された。この場面、3連続のけん制でアウトになった。一般的にけん制の3連続は珍しい。中川颯も新人。1年目の終わりとはいえ、新人投手が初回から3連続のけん制はやりづらい。試合開始直後の初回にしつこくけん制することに、多少なりとも遠慮があっても不思議ではない場面だ。こうしたことを、もしかすると五十幡も感じたのかもしれない。ただ、仮にそうであっても、けん制死の理由にはならない。

3回は2死からヒットで出塁。次打者のカウント2-0からの3球目に走って盗塁死。「足」でのアピールはできなかった。それでも、自分のセールスポイントを積極的に示す意欲は伝わった。けん制死で消極的にならず、3回も盗塁に挑んだ。刺されたことはだめだが、走ることが求められる選手として自重する選択肢はない。

五十幡クラスの足になれば、きわどいけん制、レベルの高いクイック、強肩捕手など、難しい局面で成功してこそ評価される。1軍の厳しい場面での高い成功率が期待されるのだから、このリーグならばいかにマークされようが、100%セーフにならなければいけない。けん制死などは論外。失敗はあるだろうが、失敗を経験しながら精度を上げるのではなく、成功体験を積み上げ、絶対の自信をつけて1軍に挑んでもらいたい。

バッティングでは、狙いがはっきり見て取れた。3打席ともすべてのスイングが逆方向を意識していた。転がせば内野安打にできる。自分の仕事は出塁だと、役目を理解している。レベルを上げるなら、状況を踏まえたスイングを考えること。「外のボールを三遊間」という意識をバッテリーに逆手に取られると、内角攻めが予想される。例えばバッティングカウントなら、思い切って引っ張るのも大事だ。そうすれば、バッテリーも容易に内角に投げづらくなる。そこで外に来たボールを逆方向で左翼への安打、最悪でも内野安打という展開は予想できる。

追い込まれればミートポイントを近くしてファウルで粘り、ボール球は選ぶ。こうすれば、五十幡のバッティングの幅は広がるし、出塁率も上がる。「足」という大きな武器をさらに有効に使うためにも、カウントを考えたバッティングを突き詰めてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)