大学へ進んだ同学年と同じように、来年から社会人として第2の人生を歩み出す。4年で広島を戦力外となった永井敦士外野手(21)は、二松学舎大付の恩師、市原勝人監督(56)の紹介でJPアセット証券に勤務しながら、野球を続けることが決まった。「野球を続けたい思いがあったので、続けられることに感謝しています。プロと違って仕事もある。しっかりと勉強しながらやっていきたい」。社宅から朝の練習に参加し、そこから業務を行う。1月4日から新しい生活が始まる。

19年8月、ウエスタン・リーグ中日戦でプレーする広島永井
19年8月、ウエスタン・リーグ中日戦でプレーする広島永井

プロでは常に「鈴木誠也の後輩」という枕ことばがついて回った。入団した18年から高校の先輩に関する質問が多く、比較もされた。最初はうれしかったが、徐々にプレッシャーとなった。確かな自信も、揺るぎない覚悟も足りず、浮足立っていたのかもしれない。2軍でも結果を残せず、迎えた20年1月、鈴木誠の自主トレに参加した。「後輩ということで何かお願いすることもできる近い立場だったのかもしれませんが、やっぱり遠い存在でした」。追い続けた背中の大きさを思い知らされた。結局、最後まで1軍に上がることはできなかった。

広島永井の年度別2軍成績
広島永井の年度別2軍成績

第2の人生では「鈴木誠也の後輩」ではなく「カープ出身の元プロ野球選手」という枕ことばがつくだろう。だが、迷いはない。「プロと違って、社会人はトーナメント。負ければ終わり。カープで教えてもらったことを伝えて、一緒に成長していきたい」。大学と同じ4年間、プロで学んだものがある。浮足立ったプロ時代とは違い、第2の人生では地に足を付けて1歩ずつ歩んでいく。【前原淳】

21年広島退団選手
21年広島退団選手