楽天足立祐一捕手(32)が6年間の現役生活を終え、スカウトとして第2の人生を踏み出す。10月26日-。仙台・泉の2軍施設で戦力外通告を受けた日付は、しっかりスケジュールに刻んである。「後悔がないわけじゃないけど、ある程度全部やりきったのかなと。まだやりたいというより、もうここが潮時なのかなと思ったのが強かった」と当時の心境を振り返った。

19年2月、ラミゴとの親善試合で左越え適時二塁打を放つ楽天足立
19年2月、ラミゴとの親善試合で左越え適時二塁打を放つ楽天足立

神奈川大からパナソニックを経て15年ドラフト6位で入団。「一生自慢出来るのは、初ヒットが大谷翔平(現エンゼルス)っていうことですよね」と懐かしむ。1年目の16年5月22日の日本ハム戦(札幌ドーム)、今や世界のスターとなった二刀流の内角直球を中前にはじき返す初安打。「自慢できるのはそれくらいじゃないですかね」と朗らかに笑った。

楽天足立の年度別成績
楽天足立の年度別成績

来季から関西地区のスカウトとして活動する。「人の人生を左右する。いろんなところに足を運んで見る。そういうことは本当に手が抜けない、雑には出来ない」と覚悟は決まっている。自身の担当だった愛敬尚史スカウト(45)が理想像。入団後も電話でよく怒られたというが、中でも「一番怒られた」のがプロ初本塁打を放った16年6月16日の巨人戦(東京ドーム)だった。「このまま行ったらお立ち台だな、と思っていたら坂本勇人さんに逆転3ランを打たれて。インコース真っすぐを3球連続でいったんです。猛烈に怒られましたね。今考えると、あの配球はないなと思いますけどね」と苦笑い。「それくらい(プロに)入れた選手にしっかり熱くなれるスカウトになりたいです。入れて『はい、終わり』じゃなくて」とイメージを高める。

「スケールの大きい選手が入って欲しいですね」と話す“足立スカウト”。まだ着慣れないというスーツ姿で、未来のスター発掘に駆け回る。【鈴木正章】

21年楽天退団選手
21年楽天退団選手