将来の日本を背負う若侍がいる。3月に予定されていた強化試合・台湾戦(東京ドーム)は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、23年3月には第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催が見込まれる。侍ジャパンの経験がない12球団の若手有望株にスポットを当てる「未来の侍たち」第8回。

2月26日、ソフトバンクとのオープン戦で右前打を放つオリックス来田
2月26日、ソフトバンクとのオープン戦で右前打を放つオリックス来田

オリックス来田涼斗外野手(19)が、未来の侍ジャパンに名乗りを上げる。1年目の昨季は23試合に出場し打率2割1分1厘、2本塁打、8打点。主砲の吉田正が負傷離脱した際は代役で左翼を守った。

デビューは衝撃的だった。初昇格で初出場初先発した7月13日の日本ハム戦(釧路)。初打席で初球を本塁打にした。高卒新人初の快挙。「初めての打席だったので、思い切りの良さを見せたかった」。さっそうとダイヤモンドを回った。

その後は変化球への対応などに苦しみ、思うような成績を残せなかった。ポストシーズンはメンバーから漏れ、全試合テレビ観戦。日本シリーズ初戦で吉田正が放った劇的サヨナラ打に「叫びました。次は自分があの舞台に立てるように」と胸に誓った。「レベルの高さを知りました。対応できるように練習していくだけです」。

オリックス来田の年度別成績
オリックス来田の年度別成績

プロの世界を知った有意義な1年を終え、オフは同じ左打ちの吉田正の自主トレに参加した。打撃フォームが変わり、フォロースルーは右手1本、振り切ったバットの先端がグラウンドに着く。“師匠”のようなスイング軌道。「正尚さんに教えてもらって、左手を外すようになりました。腰を故障する恐れがあるからと。(フォームは)まねしてるわけではなくて、自然に似ているのかもしれません」。9歳差の先輩の後を追っている。

キーワードは「母趾(ぼし)球」。足の親指の付け根からバットに力を伝える。「両足の親指で、その場で回るイメージ。しっかり地面をかんで、両足に力を乗せて打つ」。スラッガー候補が地に足をつけ、日の丸ロードを目指す。【真柴健】