<全国高校野球選手権:九州学院14-4帝京五>◇13日◇2回戦

九州学院・村上慶太一塁手(3年)が初戦突破を喜んだ。帝京五に14-4の大勝。4番に入る打席では、2本の長打を放った。「1勝できて素直にうれしい。練習してきたことが結果になってよかったです」。兄はヤクルトの村上宗隆(22)。7年前、同じユニホームで甲子園に臨んだ兄は、初戦で遊学館に敗れた。

兄が4度、弟が3度甲子園に出場した兄弟がいた。現在、社会人野球の日立製作所でプレーする河野祐斗内野手(26)は鳴門時代の12、13年に春夏出場、13年センバツでは選手宣誓を行った。入れ替わりに入学したのが、弟の河野竜生投手(24)だ。今、日本ハムで活躍している。弟が出場したとき、兄はどんな心境だったのだろう。「同じ学校なんで、自分の成績を超えてほしい、と思いました」と言う。

鳴門・河野祐斗(2013年8月撮影)
鳴門・河野祐斗(2013年8月撮影)

兄の最高成績は13年夏のベスト8。弟は3度目の挑戦となった16年夏、同じベスト8に進出。そもそも弟の入学を歓迎したのだろうか。「勧めなかったです。鳴門の練習はキツイ。やっていけるかな、と思ったんです。でも本人が行きたいと。だったら腹をくくって行けと言いました」。

鳴門・河野竜生(2014年8月撮影)
鳴門・河野竜生(2014年8月撮影)

卒業後の進路は違った。兄は明大へ、弟は社会人JFE西日本に進んだ。「自分と同じ明大に進む話もあったんです。でも将来はプロでやりたいというんで、それなら投手だし、3年後に指名がある社会人の方がいいんじゃないかと」。兄の勧めがあって、2人の道は分かれた。

アマとプロ。村上兄弟とは逆の立場で仲良く野球を続けている。「鳴門の実家で一緒にいたときはあまり仲良くなかった。今はいいですよ。母の誕生日プレゼントも2人で相談して決めますから。稼ぎは弟が多いですが、自分の方が多く出しますよ。兄貴ですから」と笑った。

宗隆の甲子園出場は1年生だった。4番に入って注目を浴びたが、4打数無安打に終わり、チームも敗れた。慶太は兄と比較されると「何もかないません」というが、甲子園に限ってはこの日、兄を超えたことになる。

8回裏九州学院2死、村上慶は左越えフェンス直撃二塁打を放つ(撮影・白石智彦)
8回裏九州学院2死、村上慶は左越えフェンス直撃二塁打を放つ(撮影・白石智彦)

8回2死無走者、カウント3-1から捉えた打球は左翼手の頭上を楽々と越える二塁打になった。それでも本人は「納得のいく打撃はできていません」。兄なら左翼手の頭ではなく、フェンスを越えると思ったのだろうか。【米谷輝昭】