<センバツ高校野球:英明3-2智弁和歌山>◇19日◇2回戦

「マイベストセンバツ」第2回は、父智彦さんに次ぐ父子2代で甲子園勝利を挙げた英明・香川純平監督(37)。5年ぶり3度目の出場のセンバツでは、同校初の白星となった。

英明対智弁和歌山 8回に勝ち越し、喜ぶ英明・香川監督(撮影・上山淳一)
英明対智弁和歌山 8回に勝ち越し、喜ぶ英明・香川監督(撮影・上山淳一)

初めて指揮をとった甲子園で、初勝利を挙げた。「父親がつくったチームで、4年前から(監督を)任せてもらっていますけど、春はまだ勝ってなかったので、今日はどうしても勝ちたかったですね。よかったです」と笑顔を見せた。

あの悔しさが勝利につながった。11年から、父が監督を務める同校にコーチとして就任。15、18年とセンバツに出場した。15年は1-4で大曲工(秋田)に、18年は2-3で国学院栃木に負け、どちらも初戦敗退。接戦だったが、相手との違いを肌で感じた。緊張から浮足立つ選手たち、初戦ならではの雰囲気、甲子園独特のオーラ。「いつも雰囲気にのまれてしまうんです。相手の投手もスピード感があって、短いゲームで、何もできないまま終わってしまった。どちらも同じような負け方で、同じような(試合の)入り方。その展開だけは避けようと思って準備をして臨みました」。選手には細かく注意点を伝えた。「負けたら俺のせいやけん。かまへんぞ」と力強く送り出した選手たちが、強豪に食らいついた。

英明対智弁和歌山 智弁和歌山を破り涙を見せる英明・香川監督(撮影・前岡正明)
英明対智弁和歌山 智弁和歌山を破り涙を見せる英明・香川監督(撮影・前岡正明)

父のことは「師匠」と尊敬する、影響を受けた人物だ。19年に退任した父の後を継いで監督に就任した。智彦監督と純平監督のどちらも指導を受けたOBは「練習から、選手のことをよく見てくれる」と共通点を挙げる。いつもうしろから見守った智彦監督。純平監督は、練習中も積極的に選手に話しかけるという。

昨年11月、日本高野連が若手指導者の育成を目的とする事業「甲子園塾」に参加。特別講師を務めた智弁和歌山・中谷監督から、甲子園での戦い方を教えてもらった。「教えていただいたことは絶対やろうと決めて試合に臨んだので、こういう結果になってうれしいですし、中谷監督に感謝です」。2人の師匠へ、最高の恩返し。学校の歴史に新たな1ページを加えた試合が「ベストセンバツ」になった。【保坂恭子】