日刊スポーツが今夏の「ピカイチ選手」を紹介する第2回は野手編。

昌平(埼玉)の大型スラッガー、タイにルーツを持つ桜井ユウヤ内野手(3年)は、高校通算44本塁打をマークする不動の4番打者だ。昨夏の埼玉大会では決勝まで進みながら、あと1歩のところで逃した甲子園の切符。激戦区を勝ち上がるには、この男の活躍が欠かせない。

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白球がスタンドへ吸い込まれていく。昌平の主砲、桜井の長打力には、見る人たちを引きつけてやまない魅力が詰まっている。1年秋から4番を務め、積み上げたアーチは通算44本。岩崎優一監督(32)は「飛ばすという技術に優れている」と信頼を寄せる。

中学時代にYouTubeで見た、日刊スポーツ野球チャンネル「高校球児の1日」の特集が心に響いた。「野球部に入りたい」と学校に電話をかけ、練習参加を直談判。「見てもらったら、良さが分かると思うんです」と電話口で熱心に自身を売り込み、グラウンドでは渾身(こんしん)のフルスイングを披露した。

入学当初からメンバー入り。新基準の低反発バット導入後も「ごまかしはきかない。でも、芯に入れば飛んでいく」と影響を物ともしない。180センチ、90キロの恵まれた体格を生かし、パワーあふれる打撃を一直線に伸ばしてきた。

激戦区埼玉の壁に何度もはねかえされてきた。甲子園に最も迫った昨夏の埼玉大会決勝では、甲子園常連の花咲徳栄の前に延長タイブレークの末、涙。「一番悔しい思いを経験してきた。先輩たちの悔しさも知っている」と岩崎監督が新チームの主将に任命。「自分の代で甲子園に行くしかない」とリベンジを誓った。

課題だった守備とも向き合った。1年春からサードでプレーするも、守備面の不安から昨夏はファーストに。キャッチボールから意識し、スローイングの安定を図った。「いろいろなプレーで魅せる選手になりたい」と、攻守で名を売る努力も怠らず、今年は再びサードを定位置にした。

中学時代と変わらぬフルスイングで球場全体の雰囲気を変え、チームの士気も高める。「4番としての役割を果たすことが、主将としての役割を果たすことにつながる」。集大成の夏。OBたちの思いも背負いながら、その一振りで甲子園に導く。【山本佳央】

◆桜井ユウヤ(さくらい・ゆうや)2007年(平19)6月30日生まれ、栃木県那須塩原市出身。2歳上の兄の影響で小学2年から野球を始め、中学は日光ヤングSwallows、黒磯北中でプレー。両親はともにタイ出身。180センチ、90キロ。右投げ右打ち。

バットを構え写真に納まる昌平・桜井(撮影・山本佳央)
バットを構え写真に納まる昌平・桜井(撮影・山本佳央)
ガッツポーズをする昌平・桜井(撮影・山本佳央)
ガッツポーズをする昌平・桜井(撮影・山本佳央)
24年7月、埼玉大会決勝 右越えに三塁打を放つ昌平・桜井ユウヤ
24年7月、埼玉大会決勝 右越えに三塁打を放つ昌平・桜井ユウヤ
24年7月、埼玉大会決勝 右越えに三塁打を放ち、手をたたく昌平・桜井ユウヤ
24年7月、埼玉大会決勝 右越えに三塁打を放ち、手をたたく昌平・桜井ユウヤ
【イラスト】日刊が選出ピカイチ野手
【イラスト】日刊が選出ピカイチ野手

◆「日本一だけを」統率力 山田希翔

智弁和歌山 主将の山田希翔(まれと)内野手(3年)が統率力で3季連続の甲子園へ導く。昨秋近畿大会で右肩を負傷。今春センバツでは三塁コーチや伝令としてサポートした。今月20日の抽選会では右肩の現状を「何とか必死にやっている感じ」とけむに巻いた。形はどうであれ、見据える先は日本一。「最後の最後に出し切って日本一を取ることだけを考えてやっていきたい」と力を込めた。

20日、抽選番号を発表する智弁和歌山・山田希主将
20日、抽選番号を発表する智弁和歌山・山田希主将

◆土俵で鍛えた足腰 大型捕手 花嶋大和

市船橋(千葉) 花嶋大和捕手(3年)は昨夏から主軸を任される大型スラッガー。規格外のパワーは練習中に中堅後方の校舎のガラスを割ってしまうほどだ。ついたあだ名は「破壊男」。小さい頃に相撲の経験があり「素足なので地面をかむ感覚を養えた」と土俵で鍛えた下半身には自信がある。「支えてくれた人への感謝を結果で返せたら」。主砲が3年ぶりの甲子園へチームをけん引する。

相撲のポーズを取る市船橋・花嶋(撮影・北村健龍)
相撲のポーズを取る市船橋・花嶋(撮影・北村健龍)