これなら守護神復帰も可能だ! 巨人上原浩治投手(43)が2日、宮崎キャンプで初めてブルペン入り。その投球練習を西本聖氏(62=日刊スポーツ評論家)が視察した。左膝手術前の昨季登板との比較で、明らかに良くなったポイントを指摘。西本氏からの「クローザーをやる気はないのか?」という問いにも、熱い気持ちが返ってきた。

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上原のピッチングを見ていたら、久しぶりにワクワクした気持ちになった。昨年は左膝のクリーニング手術も受け、一時的にだが契約も解除。「上原はもう終わりだろう」と思っていたファンや関係者は多かっただろう。しかし、ブルペンでの投球を見る限り、「今年はやるんじゃないか」という期待感が大きく膨らんだ。

まず、捕手を立たせたまま、軽くウオーミングアップ。この時点で「腕の振り抜け」がよくなっていた。投手にとって「腕が振れる」というのは大事な要素。昨年は踏み出す左足に痛みがあるのか、踏ん張りが利いていなかった。こうなると、しっかりした“壁”が作れず、球に伝えるはずの力がロスしてしまう。微妙な言い回しになるが、腕は無理して「振る」ものではなく「振れてしまう」というイメージが正解。上半身の使い方は、完璧といってよかった。

もう1つ、昨年と違ったのはプレートの三塁側を踏んでいたところ。捕手を座らせてからの39球は、すべて外角低めを狙って投げていた。昨年までは一塁側を踏んで投げていたが、右投手がこの角度から外角に投げると“角度”はつかない。この日は、まだ抜けた球もあったが、コースに決まった球には素晴らしい“角度”がついていた。この球の精度が上がれば、左打者は内角に食い込んでくるように感じるし、そうなれば外角に落とす決め球・フォークも生きてくる。

投球前、上原に「クローザーをやる気はないのか?」と聞いた。「そこしか考えていません」との答えだった。本人も手応えがあるのだろう。このまま下半身の強化が進めば、球速もアップするし、クローザーを任せるだけの力量はある。個人的にも、悔しい思いをした人間は、応援したくなる。実戦での上原のマウンド姿を早く見たくなった。(日刊スポーツ評論家)