プロ野球が開幕した。野球評論家の西本聖氏に巨人-阪神の開幕3連戦など3日間の印象を聞いた。

-巨人が阪神に3連勝

西本氏 なんと言っても19日の開幕戦で阪神が先発の西勇輝を6回(1失点、97球)で交代させたこと。これがこの3連戦の大きな分岐点になったと思う。冷静に考えてみて、西は自ら本塁打と適時二塁打を放ち、ピッチング内容も内外角にきっちり投げ分けられるなど素晴らしい出来だった。シーズンを終わってみたとき「開幕戦が一番良かった」と言ってもいいくらいの内容。西という投手はオリックスのコーチ時代に見た選手だが、どちらかというと気持ちがイケイケドンドンになってしまいがち。しかし今回は落ち着いて投げていたし一皮むけたなと感じた。それだけになぜ代えたのか。もちろん阪神はブルペンの層が厚く勝利の方程式があることも分かっている。ただ試合の流れを冷静に考えれば、エースに開幕戦を託して欲しかった。巨人からすれば代えてくれてありがたかっただろうし、阪神ベンチは西を信じてあげて欲しかった。

-20日の第2戦は11-1と大差がついた

西本氏 この試合のポイントは4回裏。1死三塁で阪神バッテリーは岡本と勝負して勝ち越し二塁打を打たれた。カウント3-1になったところで歩かせてもよかった。一、三塁とすれば次の中島で併殺も狙えたからだ。ここが勝負所だったと思う。また2点差の7回に新人の小川を起用(5失点)したのもどうか。初登板というのはプレッシャーがかかるもの。それを考えればもう少し楽な場面で使ってあげてほしかった。

-21日の第3戦は阪神が先制したが4回に巨人が5点を奪って試合を決めた

西本氏 4回の原監督の采配が見事だった。2点を勝ち越してなおも2死二、三塁。ここでスタメン起用の湯浅に代打北村を送って見事に2点タイムリー。臨機応変。さすがだなと思った。

-阪神は新外国人のボーアが3戦無安打。打線も計4得点と湿った

西本氏 ボーアはまだ3試合だから分からない。これから打ち出すかもしれない。それよりもやはり初戦の西の交代がすべて。3連戦の流れを決めてしまったと思う。最近はイニングや球数でオートマチックに交代させることが多い。しかし、試合の流れや投手の状態に応じて交代や続投を決めることも必要ではないか。

-その他のカードで気になった選手は

西本氏 開幕戦で完投した広島の大瀬良。さすがエースというピッチングだった。自ら本塁打も打って。阪神西もああいう形になっていればと思った。それと広島はルーキー森下も良かった。コントロールが素晴らしいし、今回は勝てなかったが、これから十分勝てていける投手。そういうものをデビュー戦で見せてくれた。