日刊スポーツ評論家の山田久志さんと中日-阪神戦(ナゴヤドーム)を観戦した17日、試合前に日刊スポーツのサイトを見ていて驚きました。

 本拠地でのブレーブスの試合でマーリンズ・イチローが6回1死一、二塁で代打で出ようとすると、相手が左投手に交代させたため「代打の代打」を送られたという記事でした。

 高原 山田さん、こんなことが起こってますよ。けったいな話ですわ~。

 山田氏 えっ? おいおい。監督はマッティングリーだっけ。分かってるのかな?

 山田さんはオリックス日本一の96年に投手コーチを務め、イチローとは旧知の仲。当時の担当記者が私なので、こういう出来事には思わず反応してしまうのです。

 ちゃんとこの記事でも触れているので書きませんがイチローは左腕を苦手にしません。通常、右対右、左対左は打者サイドに不利とされていますが、必ずしもそうではないし、例えば昨季限りで引退した左腕の中日山本昌は右打者の方が得意だったという話もあります。

 その96年の思い出話です。「メークミラクル」でセ・リーグを制した長嶋巨人には「レフティーズ」という存在がいました。

 ネーミングのうまさで知られる長嶋茂雄監督が当時の宮本、河野、阿波野、川口の4人の左腕を指していった言葉です。当然、日本シリーズ前にはイチローに「レフティーズ」をぶつけるという話題も出たと記憶します。

 それについてイチローの反応を取ったときのことです。「レフティーズ」と呼ばれているのを知らなかったイチローは楽しそうに笑って言いました。

 「長嶋さんという方は面白いですね。いろいろ考えておられるんですね」と言った後、不思議そうに「でも、なんで左打者が左腕に不利だと思うのかな?」とこちらに聞いてきたのでした。

 実際、イチローに限らず、いい打者は左右を気にしません。それをしていたら一流の打者にはなれないのは言うまでもありません。

 ともあれ、この秋に43歳になるイチロー、ここはひとつ、中年の星として「ヒットマン」の意地を見せてほしいところです。