「春はセンバツから」のキャッチフレーズは分かりやすい。この週末、いよいよ高校野球選抜大会が開幕します。高校野球ファン、野球ファンにはうれしい季節です。

 高校野球の魅力はいろいろあるでしょうが「郷土愛」というのも大きいはず。地方から都市圏に出てきている方々にすれば全国区の大会で地元の高校が出て、地元の選手が活躍するのはうれしいことでしょう。

 「きっとこんな気持ちなのかな」という感じを今、少しだけ味わっています。WBCで活躍するヤクルト山田です。14日夜、2次ラウンド・キューバ戦の2発はスゴかった。

 さらに1次ラウンド7日のキューバ戦での「幻の一発」。そこに関連する中学生へのコメントも本当によかった。野球選手としてはもちろん、人間的にも素晴らしい成長を見せているのだな、と感じます。

 その山田のWBC代表入りを記念した横断幕が、センバツ出場を決めた履正社高のものと並んで大阪・豊中市役所に掲げられています。同市役所によると「3月に入ってから出しました。やはりWBCなので」と言います。

 言うまでもなく山田は大阪・豊中市にある履正社高出身です。生まれは兵庫県で中学は宝塚市だったということですが高校時代の3年間は豊中市民でした。

 ヤクルト入りが決まった際に豊中市では「高校野球発祥の地・豊中 親善大使」という“肩書”を山田に贈っています。

 「聖地・甲子園」が当たり前の高校野球ですが実は最初は豊中…という話はこの際、置いておきますが、とにかく親善大使です。

 その豊中市が最近、ニュースになっています。

 私立小学校建設を巡って、何ともややこしい話が渦巻いている。一時は「大阪府豊中市の…」と始まるニュースを聞かない日はありませんでした。政治家を巻き込んで、疑惑は今も続いています。

 政治のことは裏も表もいろいろあるだろうし、実際に取材もしていないのでどうこうは書けませんが、うんざりする思いをしているのは事実です。

 地元を良く言うのは「我田引水」かもしれませんが豊中市はいいところ。大阪の中心部から電車ですぐ。大阪空港、新大阪駅にもほど近く、交通の便はとてもいい。にもかかわらず、緑が豊かで大阪最大の服部緑地公園もある。

 東京をはじめ、ほかの地方から転勤などで大阪に来る方々が住むところとして最初に考えるという話も聞いたことがあります。

 住民も穏やかな人が多い、と感じています。そして私が長年勤める日刊スポーツ大阪本社の以前の所在地でもありました。

 そんな「郷土・豊中」の名前がおかしなニュースで連日、取り上げられる。本筋、内容とは違うところですが「ホンマかなわんな」と思っていました。

 そんなときに山田の大活躍。少し気分がよくなりました。個人的な、ドメスティックな理由ですが、今季はこれまで以上にヤクルト山田に注目しようと思っています。