さあプロ野球開幕です。歓喜の25年ぶり優勝を飾った広島と二刀流大谷擁する日本ハムとの激闘で幕を下ろした2016年から、あっという間に新しいシーズンが始まるのです。

 そんな3・31を新鮮な気持ちで迎えると思われるのが昨年限りで現役引退した黒田博樹氏です。

 日刊スポーツ読者はご存じだと思いますが、黒田氏には先日、これも激闘を終えたWBCでニッカンの特別観戦記をお願いしていました。

 黒田氏にとって野球をプレーするのではなく、観戦する仕事は引退後これが初めてでした。

 そしてマツダスタジアムでの広島阪神の開幕戦も、どうやらゲスト観戦される様子です。残念ながら日刊スポーツではありませんが、ぜひ、楽しんで頑張っていただきたい。

 それにしても現役を終えて初めて迎える開幕はどんな思いなのでしょうか。

 そんなことを考えていると、少し前のことを思い出しました。黒田氏の顔を久しぶりに見たのはこの18日。やはりマツダスタジアムでした。

 その日は「黒田博樹特別試合」。くしくも日本ハムを相手のオープン戦で監督、コーチ、選手全員が「背番号15」の特別ユニホームを着用して行われました。

 黒田氏はスーツの上からユニホームを着て、始球式に登場。オープン戦にもかかわらずスタンドを埋めた2万8051人のファンから大きな声援を受けましたたが、その後で報道陣に言ったコメントがとても気になりました。

 「気持ちよくマウンドに上がれました。また、やりたくなった…」

 周囲は冗談と思っていましたし、実際にそうなのでしょうが黒田氏の目は何とも意味深に映りました。

 このコラムで以前にも触れましたが、黒田氏は昨秋の取材で「何年も経ったらあかんけど、今なら、まだやれるかもしれない」と話していました。

 真意はともかく、いったんは退いた現役に未練が残っているのは確かなようです。

 それを裏付けた? のが他でもない盟友の新井でした。黒田氏と久々に会った印象を問われ、口にしたのはその「仕上がりぶり」でした。

 「なんだかすごく締まってましたよね? 現役をやめたら、結構、一気に太ったりするものですけど、全然、そんな感じはしない。現役復帰。いいですね。実際、メジャーではそんな人いるでしょ? 日本では聞かないですよね。やってほしいですよ」

 その辺りを調べると実際に黒田氏は軽いトレーニングは続けているようです。

 「健康のため」と本人は説明していましたが、自分が現役でない開幕戦を見て、気持ちがどう動くか。

 絵空事と笑われるでしょうが、そんなことにもひそかに注目している開幕です。