少しでもゴルフを知っている人なら、こう言えば分かってもらえるかも。阪神に新加入したロサリオのバットには“ロフトがついている”感じです。しかも、ピッチングウエッジ級の。そんなにゴルフに詳しくないし、しかもめちゃくちゃ下手だし、恥ずかしいのですが、そんな感じです。

 とにかく打球が上がる。下からすくい上げているわけでもなく、逆にメジャーによくある上からたたきつける感じでもなく、どちらかといえば素直にレベルスイングをしているのに球がスーッと上がっていく。ウエッジなら球は遠くには飛ばないのですが飛距離はドライバー級にぶっ飛んでいく。そんなイメージです。

 おやあ。ひょっとしたら本当に「史上最強級」の助っ人なのか…。まあ、しかしな。そんなはずもないわな、とも思うのですが、そんな期待を抱かせる選手なのは現段階で間違いありません。一体、何発、打ってくれるのか。そんな期待をしているのは虎党、メディアだけではありません。同じくこのキャンプで、そのマッチョな体から常人離れした飛距離を見せている移籍2年目の糸井も同じような見方をしています。

 「あれがいきますで。40発ぐらい。あれが」。冗談ぽくロサリオを指さしながら教えてくれました。ホンマか。やっぱりいくか。そうか。思わずゴクリとしてしまった。1人、本塁打を量産する選手がいれば、周囲の打者にも好影響を及ぼすのがプロ野球の打線です。意識するあまり、前後の打者を歩かせたり、甘くなったり。強打者が1人いれば、相乗効果ははかり知れません。

 というわけで、ここで大きな夢をぶち上げます。ズバリ今季は「猛虎21世紀最多本塁打」を狙え! 01年から昨季17年まで、21世紀になってからもっとも本塁打を放ったのは10年の173本。ブラゼルの47本塁打を筆頭に城島(28本)鳥谷、新井が各19本、マートン(17本)金本(16本)と打ちまくりました。

 今年、ロサリオを軸に糸井、さらには若手の中谷、大山、そしてベテランの福留が打ち、そこに鳥谷、あるいはこの日光った北條、さらに江越、梅野ら本塁打が放てる選手が絡んでいけば…。「オーバー173」もあり得るかも。そんなことを思ってしまう。この時期の夢物語と言えばそれまでですが、楽しい。「ロサリオが40発なら、キミは30本はいかなあかんな」。糸井に言いました。「そうですね。頑張りますよ」。糸井も笑顔で応じました。宜野座の地で、今季、甲子園球場で繰り広げられるかもしれない空中戦の夢が広がったのです。