<オープン戦:ヤクルト4-2阪神>◇24日◇浦添

 変わったとこ見せなきゃ! プロ野球はオープン戦が開幕したが、金本阪神はヤクルトに逆転され、対外試合5試合目で初黒星。6回は北條の失策から同点、バレンティンの決勝2ランを浴びるなど昨年と似た敗戦シーンが広がり、金本監督も渋い表情だ。新外国人ウィリン・ロサリオ内野手(29=韓国・ハンファ)の大暴れで「優勝だ」と期待が高まるが、セ・リーグに見せつけたい試合で見せた“変わっていない虎”。名物編集委員の高原寿夫がコラムの「虎だ虎だ虎になれ!」で奮起を求めた。

 変わるか、変わらないか。それが大事だ。キャンプ打ち上げを待たずにオープン戦が始まった。ヤクルト相手の阪神のオープン戦初戦を見て、ふと「みはまそば」のことが頭をよぎった。

 中日のキャンプ地・北谷にある「みはま食堂」は地元の人でにぎわう名店だ。通な観光客も知る。デスクの松井清員は中日担当経験もあり、店名を出しただけで「えっ。行ったんスか?」と声が裏返った。

 いつも食べるのが店名を冠した「みはまそば」だ。細く切った牛肉とモヤシを炒めたものを沖縄そばの上にドカッと盛る。今年も注文した。だが出てきたものは明らかに違う。なにやら肉の固まりが乗っている。「これ、みはまそば?」。「そうですよ」と言うが…。期待していた料理を説明すると「ああ。それは『牛肉モヤシそば』になりましたね」と言う。

 最終的に希望のものを出してくれたが、長年、店名を冠したメニューが変わって他の料理にその名がつくとは…。理由を聞いたが、何となく笑われた。不思議な「沖縄ワールド」だ。

 この日のヤクルト戦は新加入のロサリオや福留や鳥谷ら主力選手は出ず、若手主体で臨んだ。4番バレンティンに2本塁打を浴び、敗戦。金本監督は前日、「こだわってやってくれ。勝つために」と勝ち癖をつける重要性を語っていたが、気になるのは内容である。

 6回、途中で出た遊撃・北條がやや三塁よりのゴロをさばいたが一塁にワンバウンド送球(失策)。これをきっかけにピンチとなり、同点、さらに秋山がバレンティンに勝ち越し弾を浴びた。

 「焦ってはいなかったけど横から投げてしまった。あのコースのゴロは肘が下がると言われていますが、それをやってしまった」

 合同自主トレを行うヤクルト山田哲の前でいいところを見せたかったはずの北條は、そう言って肩を落とした。激怒というわけではないが指揮官も、このプレーに厳しく目を光らせた。

 金本監督 軽率と思われても仕方ない。本人はそういう意識はないんだろうけど。軽いプレーに見えると言われても仕方ない。オープン戦の時にでて良かった。そう思えるように内野手もピリッとしてこれからやってくれないと。いまのうちでいいんじゃない。公式戦なら許されません。

 高山が打球処理でミスしたほか、攻めても打者のライナーで走者が飛び出す併殺が6回、8回と2度もあった。昨季もミスが目立って首位広島に突き放された。注目のオープン戦最初に、それが出てしまった。

 優勝を狙う今季、ロサリオが早くも大暴れしているが、みんなで「昨季とは違う」ところを見せてもらいたいのだ。名物のそばは、そのままでいい気もするけど、3年目金本阪神は変わってほしい。25日はその北谷で中日戦だ。【編集委員・高原寿夫】

 ◆阪神昨季の守乱 開幕カードの広島3連戦で計8失策。開幕戦からの3試合では、98年計7失策を超え2リーグ分立後の球団ワーストという不安なスタートとなった。年間守備率9割8分5厘は、ヤクルト9割8分4厘に次いでリーグのワースト2位に終わった。