岡田彰布は週1回、ベースボールマガジンでコラムを担当している。2012年のオフ、オリックスの監督を退いてからスタートし、かれこれ10年になる長寿コラムだ。

その間、毎年12月に「日本一早い順位予想」を行ってきた。「これは難しい。戦力補強の途中やし、キャンプで動きを見る前に順位を予想するのは、ホンマ、大変よ」とこぼしていたものだ。

もちろん今回も週刊ベースボールマガジンの担当から依頼があった。「今年も順位予想、お願いします」。12月といえば阪神の監督に復帰し、秋季キャンプが終わったばかり。さすがに岡田は依頼を断った。「現役の監督が予想するのはいかがなものか。他球団に失礼になるし、評価できんからね」。10年以上続く企画だし、岡田は何とか協力したかった。そこで出した結論は「1位=阪神」ということ。「1位だけを予想しとくわ。どこって? そら阪神やろ」と笑っていた。

これなら許されるし、そうなる可能性は高い。そこで岡田が考える2023年展望…。すっかり様変わりしたセ・リーグの勢力図に驚きを隠せないでいる。「現役の時は巨人がターゲットやった。広島も強かったけど、やっぱり打倒巨人が最優先課題やった」。そこから指導者の道を歩み、2004年、監督に就任して以降、セは3強時代に突入。阪神に中日、そして巨人。まさに三つどもえの覇権争いを繰り返した。

当時、監督は中日落合、巨人原、阪神岡田で直接対戦になると神経戦になった。特に阪神-中日戦は常に僅差の戦いで、ベンチワークの勝負となった。阪神-巨人戦はそこまで細かい争いではなかった。東京ドームなら打ち合い、甲子園なら投手戦。はっきりとした力勝負になっていた。

年齢は落合、岡田、原の順でこの3人が顔を会わすのがオールスター。試合前の練習中、3人はグラウンドに出ず、ネット裏のブースに集合。昔からの付き合いの岡田と原がしゃべり、落合は聞き役といった感じ。ただ落合もポツリと原をイジったりして、ペナント後半戦をにらんでの駆け引きが行われていた。

そんな3強時代は終わりを迎え、ここから広島の3連覇、そしてさらなる変化があり、今はヤクルトの天下に移っている。3強を築いた阪神、巨人、中日の凋落(ちょうらく)…。岡田は時代の変化を敏感に感じている。

2023年シーズン、どこをターゲットに戦うのか? 素直な疑問に岡田はシンプルに答える。「そらヤクルトやろ。2連覇しているチームやで。まだまだ強くなっていくやろうし、ここを倒さないとアレが難しくなる」。率直にヤクルトの強さを認めた。

阪神、ヤクルトに割って入ってきそうなのはどこ? ここも即答だった。「DeNAになるやろな。ここ数年、オレはDeNAは常に台風の目と評価してきた。故障者が多く、本来の力を出せぬことが多かったけど、選手がそろえば上位に来るのは間違いない」。潜在能力を認めてきたが、昨年の2位でそれが実証された。

早くもDeNAは開幕戦でぶつかる阪神戦用の用兵を編み出していると聞いた。力のある左腕3枚。今永(WBCの絡みがあるが)、浜口、石田を先発で、というものらしい。「ここの左投手はいいのが、そろっているからな」と前々から語っていたが、それが実際に激突する身になった。三浦大輔流の戦略に、岡田はどう対応していくか。開幕から見どころ十分の戦いとなる。

と、ここまで2チームが出てきたが、肝心の「あのチーム」が出てこない。そう巨人である。僕がここまで聞いてきた岡田の本音は巨人を完全無視するというものだった。

相変わらずのその場しのぎの補強で、外国人を多く入れ替えたけど、根本的な補強にはなっていない。岡田はそうジャッジしているようだし、巨人に負けたり、苦戦するようなら、アレは遠い。それくらいに見下ろしていると、僕は感じた。

集約すると阪神、ヤクルト、DeNAの3強。さらに突き詰めれば阪神、ヤクルトのマッチレース。これが岡田が描く2023年のセのシナリオである。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)