<イースタンリーグ:巨人1-5ロッテ>◇18日◇東京ドーム

新型コロナウイルス感染拡大により開幕延期となったファーム公式戦も、6月19日に開幕。1軍の舞台を目指す戦いが繰り広げられている。

昨年まで中日2軍バッテリーコーチとして若手を育成してきた日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(60)が、ファームで目にとまった選手や期待の若手選手の現状をチェック。18日の巨人-ロッテ戦(東京ドーム)では、巨人ドラフト3位ルーキーの菊田拡和内野手(18=常総学院)に注目した。

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やはり無観客というのは、1軍に比べてファンが少ないファームといえども不思議な感じを受けた。どの球団もファームから選手を追い続ける熱心なファンがおり、スタンドから熱い視線を送る姿は、ファームからはい上がろうとする選手にとっては、大きな励みになる存在だった。

今年は世界がコロナウイルスに苦しんでおり、こうした異例の形での公式戦もやむを得ないと感じる。静まり返った東京ドームで、必死にプレーする選手の姿は非常に新鮮だった。中でも目に留まったのは巨人の4番三塁の菊田の力強いスイングだった。高卒1年目で、右の強打者という印象だ。182センチ、94キロ。体に厚みもある。なによりスイングが目を引いた。グリップは肩より上にあって、全体としてフォームは大きな構え、という感じがした。

この試合では2安打を放っているが、凡退した2打席も内容が良かった。凡打に終わったが8回裏の第4打席は無死一、二塁で回ってきた。8回表に菊田は守備でイージーな三ゴロを捕球ミス。そのエラーは多少なりとも脳裏に残っていたかもしれない。2ボールからの3球目、ロッテのサントスの148キロストレートをファウル。このスイングを見る限りタイミングは合っていた。フルスイングができているのが印象に残った。4球目の真ん中付近の甘いストレートを芯で捉えたがショートへの併殺打。ただ、ストレートを積極的に振りにいく意識、強いスイングができるところに可能性を感じた。

この試合では、第1打席は追い込まれてから内角低めのストレートを中前打。第2打席はストレートをいい感じで捉えての右飛。第3打席は高めのボール気味のストレートを中前にはじき返している。各打席の内容が良く、自分の持ち味の強いスイングでボールを捉えている点が光った。

今季の巨人2軍は阿部慎之助監督が率い、村田修一野手総合コーチがいる。この2人によって菊田が鍛えられれば、数年後には非常に楽しみな存在になるのではないかと思わせてくれる。巨人の1軍は右の大砲として岡本が順調に成長し4番に定着した。球界は右の強打者育成が課題と言われて久しい。この日の菊田のバッティングを見ると、今後も巨人は若くて強く振れる右の強打者が育つ予感がする。無観客で静かな雰囲気の中、イースタン・リーグを取材したが、生きのいい高卒ルーキーを見ることができた。(日刊スポーツ評論家)