U18高校日本代表1次候補合宿で存在感を見せた横浜・内海(撮影・金子真仁)
U18高校日本代表1次候補合宿で存在感を見せた横浜・内海(撮影・金子真仁)

「163」のインパクトには、誰がどうやっても勝てない。だが横浜(神奈川)の内海貴斗内野手(3年)は、参加したU18高校日本代表1次候補合宿(5~7日、関西)で、その存在感を確かに示した。

バックホーム送球で終了するノックで、一塁を守る内海は最後に残された。「ほら、ウツミ~!」と小針崇宏コーチ(35=栃木・作新学院監督)が難しい打球をノックし続ける。捕れなくても内海が果敢に挑むから、チームが盛り上がる。「自分はムードメーカーでいいんですよ」と笑う。

センバツ抽選会前日、参加32校のキャプテンが一堂に会した。研修を終えたその夜、コンビニに出かけると智弁和歌山・黒川史陽主将(3年)らがふざけて、内海の買い物かごに次々にジュースを入れてきた。「よし!」とおとこ気を見せてまとめて会計した。

そのまま黒川、東邦・石川昂弥主将(3年)ら8人が、なだれこむように内海の部屋へ。スマートフォンで昨夏の甲子園の動画を見た。内海が大飛球を放った瞬間にガッツポーズをしたのに、サク越えしなかった場面で「入ってねーじゃん!」と大盛り上がり。翌日の抽選会、開会式、この合宿と、世代を代表する選手たちの輪の中心にはいつも内海がいた。

代表候補合宿を終え、永田裕治監督(55)は「あえてキャプテン役を誰にも指名しなかった。まだ強烈な存在は出てきていない。この選手かな、というのは何人かいる」と話した。太く朗らかな声でメンバーを鼓舞し続けた内海は、おそらくはその中の1人だろう。合宿2日目夜の1時間半に及ぶ選手間ミーティングでも、自然に内海と黒川が進行役を務めたという。

技術でも、懐の深い打撃をアピール。国際大会で使われる木製バットで、しっかり飛距離を出した。運良く、大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)がマークした国内高校史上最速163キロの相手にもなり、伝説の当事者にもなった。「野球人生の、いい経験をさせてもらいました」。

8月に日本代表最終メンバーに選ばれれば、尊敬すべき仲間たちと世界の舞台で戦える。その前にやることがある。このセンバツではよもやの初戦敗退。「悔しいを通り越して、もう何か…って感じでした」。最後の夏まで残り3カ月。まずはリベンジを期す名門・横浜の主将としての役割を全うする。【金子真仁】

選手間で大盛り上がりを見せた横浜・内海の打席(2018年8月9日撮影)
選手間で大盛り上がりを見せた横浜・内海の打席(2018年8月9日撮影)