青森南・玉熊(左)に助言を送る佐藤部長(撮影。相沢孔志)
青森南・玉熊(左)に助言を送る佐藤部長(撮影。相沢孔志)

4月に青森から青森南へ転任した硬式野球部の佐藤正臣部長(45)が、新天地で新たな風を吹かせている。前任校は県内有数の進学校として知られるが、同部長は「甲子園出場」を目標に5年間指揮し、春夏で4強3回と8強2回、秋は4回の8強進出に導いた。「文武両道」を実践して母校を離れたが、新天地でも考えは変わらない。

安定して好成績を残せた要因を「子どもたちは甲子園で1勝したいという思いが強く、甲子園に行く努力をしていた。いつも壁になったのは私学。公立校で1番になるのは当然の中、私学に勝って甲子園に行くことを目標にしていたから、質の高い練習ができていた」と分析。「打倒私学」を胸に、熱心な指導と言葉で選手を奮い立たせ、向上心が高いチームに育てた。

同部長に指導を受けた玉熊佑成投手(2年)は「肘を高くすることと下半身をうまく使う助言をいただいた。まだ実感はないですが、夏になるにつれて状態や感覚は良くなる」と助言され、安保収悟捕手(2年)は「投手陣の球筋が良くなった。昨季はフォームで直球と変化球の差があったが、今は分かりづらくなった」と効果は次第に表れている。

木田里仁監督(46)は佐藤部長について「優しく細かく指導してくれて、とてもうれしい。(選手は)プレーを場面ごとに考える意識が浸透してきた」と信頼を置く。ともに同学年で高3夏の青森大会では対戦した旧知の仲。28年を経て、今度は指導者としてコンビを組むことになった。同部長は「木田先生と少しでも良い思いをしたいですし、子どもたちが勝って喜ぶ姿を見たい。縁も感じていて、彼の力になりたい」と意気に感じている。

5月下旬に青森と練習試合を行ったが、主力組の試合で大敗を喫した。同部長は「負けたことはすごく悔しい。それでも新しい監督の下で、自分が教えてきたことを発揮してくれてうれしかった」と話した。「青森南はこれからのチームです」。現チームは7月14日開幕の代替大会で8強進出を目指している。近未来には、初の甲子園出場を見据えている。【相沢孔志】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

サインを出す青森南・木田監督(右奥)と試合の様子を見る佐藤部長(後方中央)(撮影。相沢孔志)
サインを出す青森南・木田監督(右奥)と試合の様子を見る佐藤部長(後方中央)(撮影。相沢孔志)