11月からアマ野球担当になり、最初の仕事は高校野球の秋季大会だった。言わずと知れた翌春センバツへの選考対象になる重要な大会。前回は東海地区の選考が議論を呼んだが、今回はどうだろう。例年、枠が多い関東・東京や近畿が難航する。今回は中国・四国地区も難しいのではという声を現地で聞いたので、いま一度整理してみる。

記念大会のため中国・四国は1枠増の「6」。近年の実績から算出された今回の基数「中国2、四国3」をまず決め、地区を問わず6校目を選び出す。

状況的に、決勝に進んだ学校は順当だ。まず中国の決勝は広陵(広島1位)と光(山口3位)。大敗した光だが、浜田(島根1位)創志学園(岡山2位)高川学園(山口1位)と中国大会で3勝。公立校が大奮闘した。

準決勝は鳥取城北(鳥取1位)が広陵に敗れ、高川学園が同県の光に敗北。ともに大接戦だった。鳥取城北はおかやま山陽(岡山1位)を倒し、広陵と互角に戦った。地域性で見ても、中国の3番手として文句ない。

一方の四国。決勝は英明(香川1位)が高松商(同2位)を1点差で下した。香川対決だけに、枠が2つなら(前回の東海地区のように)4強からの逆転選出もあり得たが、今回は最低3枠が確保される。香川のアベック出場は堅い。

次の3校目が難しい。準決勝で英明に負けた高知(高知2位)と、高松商に敗れた鳴門(徳島1位)の比較になる。準々決勝で高知は今治西(愛媛1位)に快勝し、鳴門は済美(愛媛2位)にコールド勝ちした。ともにベスト4だが高知は2勝。徳島王者・鳴門はシードのため1勝だ。

選考を複雑にするのが増枠分の6校目かもしれない。シンプルに「中国3・四国3」なら広陵、光、鳥取城北、英明、高松商に「高知か鳴門」となる。仮に「四国4」とすれば、選考の難易度は下がるだろうが「2・4」のバランスに異論が出るかもしれない。

7月に発表された選考ガイドラインには「試合結果、試合内容をもとに評価する。その割合は同程度」「複数の学校の評価が並んだ場合、できるだけ多くの都道府県から出場できるよう地域性も考慮する」「府県大会の結果は参考にするが、選考委員が視察する地区大会の内容を優先する」「地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない」などと明記された。

基準が明確になった一方で、選考委の主観性がより強調された印象だ。ただ、それもセンバツの特色。1月27日、結果はもちろん、どんな説明がなされるかにも注目したい。【アマ野球担当=柏原誠】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

英明・百々愛輝(2022年11月6日撮影)
英明・百々愛輝(2022年11月6日撮影)
四国大会を制し行進する英明の選手たち(2022年11月6日撮影)
四国大会を制し行進する英明の選手たち(2022年11月6日撮影)