明るく元気な日大国際関係学部・女子硬式野球部の選手たち。後ろにそびえるのは富士山(撮影・沢田啓太郎)
明るく元気な日大国際関係学部・女子硬式野球部の選手たち。後ろにそびえるのは富士山(撮影・沢田啓太郎)

とにかく、全員がテキパキと動く。日大国際関係学部女子硬式野球部の練習には無駄な空き時間がほとんどない。しかも、やらされている感は全くなく、みんな自然に体が動いてるようにみえた。

取材したのはゴールデンウイークの真っただ中。どこかに遊びに行きたくなるものだけど、彼女たちは白球を追いかけている方が楽しいらしい。

武重萌乃さん(4年)は「練習から自分たちで考えて、チームを作り上げていくことを心がけています」と話す。この日はスローボールを打つ練習を繰り返し行っていた。最近、チーム全体的に打ち急ぎが目立つため、ボールをひきつけて打つ感覚を取り戻すためだという。

昨秋に就任した柳理菜監督(26)は、2021年をもって活動を無期限休止した、日本女子プロ野球リーグ最後の世代。元プロの彼女が重んじているのは、選手たちの自主性を引き出すことと、実戦に即した練習を意識させることだ。

日本女子プロ野球リーグ時代の柳理菜監督
日本女子プロ野球リーグ時代の柳理菜監督

フリー打撃では、1球打って交代、3球打って交代というのを繰り返していた。

「試合で5分、10分続けて打つことってないですよね。1球で自分のスイングをする、3球でしっかりした打球を飛ばす。その意識づけが狙いです」

柳監督はバッティングピッチャーを務めながら、選手たちが実戦を想定しながらスイングしているか、しっかりチェックしていた。

監督も選手も、納得して野球に取り組んでいるので、チームの雰囲気はいい。武重さんは「明るく元気で、学年に関係なくみんな仲がいい」と言う。酒井柚里さん(4年)も「練習でも試合でも、みんなでいろいろ指摘し合ってます」と風通しの良さを強調した。

1球1球、集中してバットを振る日大国際関係学部・女子硬式野球部の選手たち(撮影・沢田啓太郎)
1球1球、集中してバットを振る日大国際関係学部・女子硬式野球部の選手たち(撮影・沢田啓太郎)

5月18日から高知県で行われた全国大学女子硬式野球選手権春季大会では、2勝をあげてベスト4入り。柳監督の実質的なデビュー大会はまずまずの成績だった。

全国大会で過去4度決勝に進むも、いずれも準優勝に終わっている。

「全国ではまだ1回も優勝したことがない。日本一になりたいんです」と柳監督。チームの目標は明確だ。【沢田啓太郎】

【元女子プロの群像】コロナ禍の自分を反面教師に「楽しく勝つ」監督に/柳理菜の場合、はこちら>>

◎日大国際関係学部女子硬式野球部

◆創部 2014年

◆現在の部員数

22人=4年(3人)3年(5人)2年(8人)1年(6人)

◆おもな練習場所

日大国際関係学部御園グラウンド(静岡県三島市、室内練習場完備)

◆1週間のスケジュール

(月~水)自主練習(木、金)午後5時30分から練習(土、日)午前10時から練習または試合

◆指導者の体制

(監督)柳理菜(副部長)松崎裕幸

◆寮の有無 なし

◆おもな実績

2018年=第4回全国大学女子硬式野球選手権春季大会(準優勝)第8回全国大学女子硬式野球選手権秋季大会(準優勝)

2019年=第15回全日本女子硬式野球選手権大会(準優勝)

2021年=ヴィーナスリーグ(2位)ヴィーナスリーグ年間嬢王決定トーナメント(準優勝)

2022年=第8回全国大学女子硬式野球選手権春季大会(準優勝)第12回全国大学女子硬式野球選手権秋季大会(3位)

◆部のスローガン

The sky is the limit(可能性は無限大)