阪神木浪聖也(2019年4月3日撮影)
阪神木浪聖也(2019年4月3日撮影)

阪神の大逆転勝利に終わった9日。DeNAで最後に投げていたのはクローザーの山崎康晃だった。ソトの失策で2失点したが、自責は0。それでもなぜか阪神にはあまり相性が良くない感じがする。試合前、少し聞いてみた。

「そうですね。なんだかそうなってる感じもありますね。でも別に理由とかはないですよ」

そこは球界を代表する投手の1人だ。何かがあるとしても簡単に弱みは見せないし、こちらもそんなことは期待していない。室内練習場で話し掛けたのは他にも聞いてみたいことがあったからだ。阪神のルーキー木浪聖也について聞きたかった。

山崎から見て、木浪は亜大の2年後輩に当たる。同じ釜の飯を食った仲だ。オープン戦であれほど光った木浪だが開幕してからは苦しみ、まだ無安打。というか試合にも出なくなってきた。ちょっとだけ心配している。

「本当に優しい男なんですよね。ムードというか話し方からしても優しくて。すごくいいものを持っているから入学して、すぐ起用されていましたけど気持ちが優しくて。大学時代もそんなことを言われてましたけどね」

木浪について山崎の口から出たのはその人柄だった。確かにその通りだと思う。一度、新幹線のホームでサインを求めるファンに対する態度に驚いてしまった。色紙を持ったファンがあふれ、他の利用客に迷惑をかけるのを心配して、「こうやって1列に並んでください」と自分で整理しながらサインしていた。

こんな選手はなかなかいない。取材に対する受け答えもよく、すがすがしい。こちらも人の子。そういう選手には活躍してほしいと思うがなかなか簡単ではない。

だが、もちろん、それだけではない。山崎はプロの先輩としてこんな話をした。

「オープン戦はともかく開幕すればね。投手は本腰を入れてくるというか絶対に打たせないというつもりで投げてくる。研究だってされますしね。そこをどうするか。でも早い段階でいい経験をしていると思いますよ」

後輩に対する率直な思いが出ていた。木浪はどう思うのか。山崎と対戦してみたい?

「ええ。でもまだまだですけどね。ボクが優しい? いえいえ。大丈夫ですよ。チャンスがあれば勝ちます!」

木浪はそんな話をした。近本光司とともに新風を巻き起こすと期待された存在だ。チームが打てないこういうときこそ快音を聞きたい。その木浪、11日はウエスタン・リーグの試合から「親子ゲーム」の覚悟で臨む。(敬称略)

亜大時代の木浪
亜大時代の木浪