DeNA対阪神 DeNAに敗れ悔しげに引き揚げる矢野監督(撮影・上田博志)
DeNA対阪神 DeNAに敗れ悔しげに引き揚げる矢野監督(撮影・上田博志)

こら、あかんで。いよいよ来たで。多くの虎党はそんな思いでいるだろうか。今季2度目となる2試合連続無得点負けで4位転落となった阪神。先発の西勇輝はよく投げたが点を取らないと勝てないのは子どもでも分かる。夏場に失速する様子も過去によく見た。しかもお得意様のDeNA戦、横浜スタジアムでこの負けっぷり。元気をなくす要素はいっぱいある。

こんなときはレジェンドに話を聞きたい。このコラムにもよく登場する伝説の左腕・江夏豊だ。テレビ大阪の解説で球場を訪れていた。投手が好投しても打線が援護できない敗戦。さぞや立腹しているか、と思ったが逆だった。

「投手の宿命やないか、それは。俺が阪神に入った頃なんて毎年、チーム打率が2割1分とかや。そりゃ、西くんは勝ち星がつかずにかわいそうやけど、そういうこともあると思わなきゃ。打線に助けられて勝てるときだって投手にはあるんだから。我慢、我慢や」

かつて延長戦を無安打無得点に抑え、最後は自分のサヨナラ本塁打で勝った。そこで「野球は1人でもできる」と“名言”を残し(実際には発言していないのだが)野球ファンに語り継がれる男の発言と来れば、なかなか説得力がある。

実際に江夏はプロ入りしてからは味方の失策に怒ったこともないし、世間で思われているイメージとはかなり違うタイプだった。

それにしても阪神打線が打てないのは事実だ。理由はいろいろあるだろうが、どうすればいいか。外から阪神を見ているOBとしても聞いてみたいところだ。

「バッティングは本職じゃないしな。言えることは梅雨入りしたらそんなものだよ。そのうち梅雨も明ける。そういうことだ」

実際に梅雨明けまで打線のこの状態が続けば大変なのだが、そう言われると気分が軽くなるような気もしないではない。実際に「あと1本出れば」というところまでは攻めている。そこで出ないのが問題なのだけれど打撃にはそういうこともあるのも事実だ。

前回に2試合連続無得点負けを喫したのは4月20日と21日の巨人戦(甲子園)だった。この21日を終えた時点で阪神の成績は7勝13敗1分けの借金6。単独最下位に落ちた試合だ。

それを思えば、まだまだ。いいときは油断せず、悪いときは悲観せす。野球も世の中も、それでいくしかないのである。(敬称略)

DeNA対阪神 5回裏DeNAの攻撃後、ベンチで近本(手前)と話す木浪(撮影・浅見桂子)
DeNA対阪神 5回裏DeNAの攻撃後、ベンチで近本(手前)と話す木浪(撮影・浅見桂子)