DeNAに勝利し、ベンチでタッチを交わす矢野監督(右)(撮影・奥田泰也)
DeNAに勝利し、ベンチでタッチを交わす矢野監督(右)(撮影・奥田泰也)

久しぶりに3本塁打が飛び出すなど打線がつながっての圧勝だ。こういうときは「猛虎!」と言ってもいい感じだ。これで阪神のチーム本塁打は78本に。この数字はなかなか興味深い。

DeNAの主軸のソト、筒香嘉智、それにロペスの本塁打数を見る。ソトが30本、筒香が25本、そしてロペスが24本で合わせて79本。阪神の本塁打数はチーム全体でこのトリオに負けていることになる。(念のため本塁打数リーグ・トップは巨人で141本。阪神の少なさが分かるが)。

それでいてDeNA戦の戦績はここまで19試合戦って11勝7敗1分け。4つの貯金がある。東京ドームで巨人に3連敗を喫したときはしつこく本塁打の重要性を書いたが、この結果を見ると「本塁打だけでもないのか」と思ったりする。

試合前、三塁側ベンチではDeNAの指揮官ラミレスを囲む担当記者の輪ができていた。そこにいたので左耳だけ、お邪魔する。そこで敵将が面白い話をしていた。

「私が監督になってから阪神にはずっと負け越しているので。ここまで10勝7敗(1分け)だろう。シーズンを五分で終われれば勝ったと同じようなものだと思うんだ」

勝率五分なら勝ったようなもの、というのはこの世界では相当、謙虚な考え方だろう。しかも順位はDeNAの方が上なのだ。しかしデータがそう言ってしまうのももっとも、と思わせる。ラミレスが指揮を執った16年から阪神はDeNAに勝ち越しを続けているのは事実。こんな感じだ。

16年 15勝9敗1分け

17年 14勝10敗1分け

18年 17勝8敗

大昔から「横浜大洋銀行」などと言われた伝統は皮肉にもラミレスの新しい時代になってもしっかり根付いている。

だからこそ、と思う。そこまで苦手意識を持ってくれているのなら、そのいやなイメージ通り、ここではいただいてしまいましょう、ということだ。

これで2位DeNAには5・5ゲーム差となった。ひょっとして、もしも、いや万が一、ここで3連勝を決めれば3・5ゲーム差になる。その時点でこのカード、残りは9月に4試合ある。広島の動向で順位はどうなるか分からないが、Aクラス入りへ、最後の、本当に最後の望みがつながることになる。皮算用にもならないが、ここは少しだけ楽しませてほしい。(敬称略)

6勝目をあげジェフリー・マルテ、浜地真澄らナインとハイタッチする青柳晃洋(中央)(撮影・上田博志)
6勝目をあげジェフリー・マルテ、浜地真澄らナインとハイタッチする青柳晃洋(中央)(撮影・上田博志)