試合前に新幹線に乗り帰阪したヤンハービス・ソラーテ(撮影・宮崎幸一)
試合前に新幹線に乗り帰阪したヤンハービス・ソラーテ(撮影・宮崎幸一)

図らずも広島と阪神、対照的な日となった。少ないAクラス入りの可能性を求めて敵地に乗り込んできた阪神を広島がたたいたという結果だけではない。外国人選手のことだ。

手前みそだが、やはり阪神担当記者は鋭い。この日の「ソラーテ騒動」についてかなり早い段階からキャップ酒井俊作以下、虎番たちは“異変”を感じていた。そして「モチベーションが上がらない」という理由で関西に戻ったことを広報が発表するに至った。

同じ日、広島では昨季まで在籍したエルドレッドを巡るサプライズがあった。イニングの合間に大型ビジョンに登場。米国時間午前5時41分の“生出演”で「15日、マツダスタジアムにいきます。頑張って」などと話した。

先日に球団を通じて引退を発表。今後は駐米スカウト就任が決まっている。15日ヤクルト戦で予定される引退セレモニーを感謝しての登場だ。

これだけを受けて言うつもりもないが両球団の外国人選手獲得には大きな違いがあることは認めざるを得ない。広島は外国人選手の性格を重視している。過去の経験を受けてのことだが、少なくとも今の広島で首脳陣に文句を言ったり、サボタージュを行うような選手はいない。

阪神は過去にいろいろあった。こちらも苦い経験を踏まえて、失敗は減ってきている。そんな中、今回は久しぶりにやってしまったという感じだ。どんな理由があるにせよ、1軍昇格してきたその日に「やる気が出ない」と言って自宅に戻るなど考えられない。

しかし時代は変わっているのだ。かつて阪神が本格的に? 弱かった時代はこういうドタバタ劇、あるいはお家騒動があると輪を掛けて負け続けた。今回、万が一にもそんなことになっては話にならない。

「一丸となるべきタイミングでこれはちょっとまずいのでは?」。試合前、球団副社長兼球団本部長・谷本修にこんな質問をした。

それに対し、谷本は「大激震にはならないでしょう。大激震には」と答えた。その通り、善しあしは別にして、こんなことで「大激震」になっては困るのだ。

途中からチラッと来て、ちょこっと打った助っ人の妙な行動に大きく影響されて、どうする。元々、敵地マツダスタジアムで3連勝など甘い期待だ。とにかく1つ、勝つ。阪神にはそれしかない。(敬称略)

グラウンドを見つめる矢野監督(撮影・栗木一考)
グラウンドを見つめる矢野監督(撮影・栗木一考)