11月10日は日本国民にとって特別な日になった。天皇陛下の即位に伴うパレード「祝賀御列の儀」が行われた。高知・安芸市営球場で行われている阪神秋季キャンプにいるこちらはテレビを見ることもできないけれど、パレードの行われた東京も高知も「日本晴れ」で良かったなと思った。

そして、ふと思う。「こんなめでたい日に生まれた選手は阪神におるかな」。思いつきは調べることにしている。3人もいるではないか。西勇輝、坂本誠志郎、そして熊谷敬宥だ。

「阪神だけで3人か。他球団はどうなんやろ?」。そう思ってデスクに聞くと「NPBのスケジュールカレンダーを調べればいいですよ」と教えてもらった。それを見て、また驚く。

11月10日生まれは現在のNPBに4人しかない。もう1人はロッテの山本大貴。つまり4人のうち、3人までは猛虎戦士ときた。これはなかなかの“事実”ではないか。

3人のうち、この秋季キャンプに参加しているのはこの日24歳になった熊谷だけだ。夕方暗くなるまでノックを受けて、泥で汚れた顔の熊谷に聞いてみる。「きょうが何の日かは分かっとるよね?」。

「もちろんです。自分の誕生日がそういう日に当たってうれしいです。でも自分はこれまで全然、活躍できていないですし。来季はしっかり仕事をして25歳の誕生日は『1年前はそんなことを思っていたな』と振り返りたいです」

難しい質問かも…だったがしっかり話した。熊谷はこの日、ランチタイムにファンにサイン色紙を渡すイベントに参加。ともに参加したのは近本光司、木浪聖也だ。「自分なんて2人に比べれば全然なんで。肩身が狭かったですよ」。

とはいえ熊谷は球団きってのイケメンとして知られる。球場に詰め掛けた女性ファンからプレゼントを多数、もらっていた。ここに1軍で戦える実力が伴えば…と思ってしまう。

「11月10日生まれがウチに3人もいるんですか? それは縁起がいいですねえ~。そう思いますよ」。指揮官・矢野燿大も笑顔を浮かべながら話した。どんなことでも前向きに感じられるのはいい。

ちなみに阪神が調査を進める牧田和久(大リーグ・パドレスから自由契約)も11月10日生まれ。来季、同日生まれが4人の阪神になるとさらに面白いのだけど。(敬称略)

スパイク走の練習前、熊谷(4)は仲間から誕生日祝いの拍手を受ける(撮影・上山淳一)
スパイク走の練習前、熊谷(4)は仲間から誕生日祝いの拍手を受ける(撮影・上山淳一)