ヤクルトのキャンプ地・浦添に来る前、少しだけ楽しみにしていたことがあった。「きんに君」として売り出し中の2年目・中山翔太の現状を見たかったのだ。「きょうは出るかな?」。虎番記者の磯綾乃と並んで日刊スポーツが誇る美人記者(…)であるツバメ番・保坂恭子に聞くと「どうでしょう」とつれない返事。結局、出なかった。

むきむきの筋肉、パワーを売りにしている中山。一部のメディアではソフトバンクに去ったバレンティンの穴を埋める存在などと言われている。そのパワーを実際に見たかったのだが機会は訪れなかった。

そんな話を阪神の坂本誠志郎にしてみた。大学は中山が法大、坂本が明大と違うが高校は同じ大阪・履正社。坂本は中山の3年先輩である。

「なかなか注目されているみたいですね。でも本塁打は力じゃないですよ。ツボですよ」。後輩相手だからか軽口をたたいた坂本。自身も22日中日戦(北谷)でオープン戦1号を放っているだけに説得力があるような気もする。

試合前、打撃コーチの井上一樹と阪神打撃陣の話を少しだけした。現在、好調なのは誰だろうか。そんな質問に井上はこんなことを言った。「近本、木浪、高山だわね。あとは梅野はずっといいとオレは思っている」。プロの見立てだが、結構、虎党と同じだろう。

思うのはやはり左打者が多いな、ということだ。名前の挙がった4人で梅野以外は左だ。右でスタメン候補は大山悠輔、その大山と「三塁争い」という構図になっているマルテ、新加入サンズ、それに木浪聖也と争う北條史也か。

そこでベンチに誰を置くのかという話になって、いろいろと考える。この日、本塁打を放った陽川尚将か。やはりファームで1発を放った中谷将大か。1軍キャンプにはその立場で江越大賀も参加してきた。

そんな感じで右打者を考えていると、あらためて坂本の意味を感じた。今の流れでいけばスタメンマスクは梅野だろう。坂本は控え捕手になるが、そこで打撃ももっと期待できるようになれば面白い存在になる。

そもそも捕手なので内野、外野手とは競争にはならない。相手は現状、梅野だけ。ライバル争いもいいが梅野とともに自身の「ツボ理論」で打てる捕手として育っていけば、他球団と比べても阪神は面白いな、と思う。(敬称略)

ヤクルト対阪神 試合後、坂本(左)とタッチを交わす秋山(撮影・狩俣裕三)
ヤクルト対阪神 試合後、坂本(左)とタッチを交わす秋山(撮影・狩俣裕三)