今年の阪神、重要なメンバーが1人、欠けているのではないか。熱心な虎党ならそう思っていることだろう。藤浪晋太郎、近本光司、大山悠輔、北條史也といった数多い26歳世代の1つ上、27歳の高山俊である。

31日DeNA戦は引き分けに終わった。「2番右翼」でスタメン出場した糸井嘉男にとっては39歳の誕生日だった。不思議なキャラクターなので年齢不詳だが、トシのせいか、古傷の影響か、いまひとつ元気がない。せっかくの記念日は3三振と振るわなかった。

糸井、そして球界最年長の福留孝介と、長打が期待できる阪神の左打者はベテランである。そうは言ってもボーアをのぞけば左打者はこの2人に頼らなければいけない現状なのだが、いやいや、高山がいるぞと、あらためて思い出した。

3カ月遅れのスタートとなった今季、高山は開幕から不振で7月17日に2軍落ちしている。ほとんどが代打での出場だったので、タイプから考えても少々、気の毒な感じはした。

そんな高山の情報を虎番の若手記者が教えてくれた。昼間に行われたこの日のウエスタン・リーグ、オリックス戦にスタメン出場すると4試合連続となる安打を放った。これで10試合に出て、35打数12安打の打率3割4分3厘という。ファームに行ってから2週間、調子を上げてきているのなら何よりだ。

虎番の取材に対し、高山は「ずっと状態は悪くないと思います。やることは同じ、という気持ちでいます」と話した様子。上に呼ばれて、すぐ使われても同じ気持ちで打席に入れるように心掛けているようだ。

当たり前なのだが、これは、いいことだ。上に呼ばれて、すぐにガツンといけばチームのムードも変わってくる。大体、1軍でまだ安打がないということがちょっと考えられない。それでも懸命に上での活躍をイメージしているのはいい。

4日からは甲子園で首位・巨人を相手に3連戦だ。前回7月は雨の影響で1試合しかなかった。しかも無観客だった。今度は観客も入る「伝統の一戦」だ。

思い出すのが昨年5月29日、甲子園での阪神-巨人戦だ。高山は延長12回、サヨナラ満塁本塁打を放った。指揮官・矢野燿大の1年目を代表するシーンだ。

高山の昇格がいつになるのかは分からないが、もうそろそろだと思う。「今季初安打」も印象的なものになればいい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)