今季2度目のナゴヤドーム3連敗か。中日との対戦成績は阪神がまだ1つ上回っている。それでも個人的な感想で言わせてもらえば「2位にふさわしいのは中日では-」ということだ。

理由は巨人との対戦成績だ。5球団を圧倒し、優勝ロードを走っている巨人に対し、もっとも健闘しているのは中日だ。ここまで10勝12敗2分け。「借金2」でしのいでいる。阪神は借金8なのでこの部分では中日に完敗している。さらに「伝統の一戦」という看板を背負っている球団なので、余計に恥ずかしい。

中日の指揮官・与田剛については夏場にかけてファンからいろいろな批判があったようだが業界では評価する声もある。他球団のある関係者から聞いたのはこんな話だった。

「与田監督は大胆なことをやりますよね。外国人(アリエル・マルティネス)を捕手に起用してみたりとか。セ・リーグで外国人捕手を使ってみるというのは、なかなかできることじゃないですよ」

一般人の見立てとプロのそれは違うんだな、と納得したものだ。翻って同じく2年目の指揮を執っている矢野燿大はどうだろう、と考えてみる。

正直、今季の方が昨季に比べて矢野自身の“色”が出しにくい状況になったと感じている。本来、機動力を生かす野球をしたいはずなのだがサンズ、ボーアという重量級が2枚加わり、攻撃スタイルは固定されがちだ。

スタメンの捕手を替えてみたり、打順を盛んにいじってみたりといろいろな動きをしているが、正直、これがはまった-というものは見えてこない。

そんな中、これはコロナ禍によるケガの功名というべきなのだが藤浪晋太郎の救援起用という副産物が生まれている。先発で起用して1勝こそマークしたが、なかなか本来の力を発揮できず、2軍に落ちていた藤浪をコロナ禍による大量入れ替えで急きょ昇格させ、ブルペンで使って、ここまで成功している。

スアレスが打たれ、サヨナラ負けしたが先制された試合を途中、逆転できたのも5、6回を四球で走者を出しながらも粘って、無失点で切り抜けた藤浪の投球が大きかったと思う。

来季どういう形になるかは分からないがオフの練習やキャンプ、オープン戦よりシーズンの実戦が身になるのは言うまでもない。残り試合の注目点だと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)