「ドラ1」コンビの奮闘が光った。馬場皐輔、岩貞祐太の中継ぎコンビだ。先発ガンケルが早期降板した後の4回から、まず馬場が登板。6回まで3イニングを無失点で切り抜けた。大リーグ風に言えば「ロングマン」の仕事だ。

7回の岩貞祐太も踏ん張った。桑原将志に本塁打を浴びたり、味方失策があったりとギリギリだったがなんとかリードを保ち「勝利の方程式」につなげた。いったんリリーフカーで出てきて引っ込んでとバタバタした登場は気の毒だった。

馬場と岩貞の2人には共通点がある。ともにドラフト1位入団だが、いわゆる「外れ外れ1位」組だ。岩貞は13年、大瀬良大地(広島)柿田裕太(元DeNA)のクジを外してのドラ1。馬場は17年当時、話題を集めた左打者、清宮幸太郎(日本ハム)安田尚憲(ロッテ)を外した後だった。

同じドラフト1位といっても例えば今季、大活躍している佐藤輝明とは違って期待度から言えば高くなかったかもしれない。それでもいろいろなプロセスを経て1軍でしっかり“職場”を得ている。特に今季はここまで馬場がいい。失点しそうでしない、打たれそうで打たれない粘りの投球が続く。これで7試合、自責0はなかなかだ。

「テークバックが打者から見にくいのと変化球の精度が高い。投手不利のカウントでもいろいろな変化球を投げてカウントを整えていけるのが強みですね」。馬場についてブルペン担当の投手コーチ・金村暁はこんな分析をしていた。剛速球など派手さはないが実戦で力を発揮するタイプということだろう。間違いなくこの日のヒーローだ。

もっと言えば近本光司も「外れ外れ1位」組だ。藤原恭大(ロッテ)辰己涼介(楽天)のクジを外した結果だが、ここまでの貢献を見せている。そして競合を勝ち抜いた佐藤輝、今では懐かしい自由獲得枠(03年)の糸井嘉男と阪神のオーダーにはドラ1が並ぶ。

かつてドラフト下手、育成下手と言われたチームがその反省を受け、姿を変えてきている結果が首位を走る姿であれば虎党にとってはうれしい限りだろう。

対照的に2位巨人は中継ぎ投手が崩れながら14年ドラフト1位・岡本和真がサヨナラ本塁打。3・5ゲーム差をキープした。いよいよ「TG一騎打ち」か。ちょっと早いけれど週末の「東京ドーム決戦」が楽しみになってきた。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)