面白いやん。この朝の日刊スポーツだ。CSファーストステージ開幕戦の先発に才木浩人が立つかも、という。順当なら先発は青柳晃洋。だがまず才木が投げて青柳は「第2先発」で…という策があるという。

記事では触れていなかったが今季の戦いを見ていた虎党なら、この案の意味が分かるだろう。DeNAは「青柳対策」として宮崎敏郎、ソトといった強打の右打者をスタメンから外すケースがある。青柳が交代し、2番手以降の投手の「ここぞ」という場面で代打で出てくるのだ。

だが才木なら宮崎、ソトはスタメンのはず。簡単に交代できなくしておいて青柳登場-という流れだ。本当にやるかどうか。短期決戦特有の心理戦か。さらに報道されたら状況も変わるのではないか。いろいろ考えつつDeNA関係者に聞いてみると「そうなんですか?」と本気で驚いていた。指揮官・矢野燿大も「ええやん。勝手に書いたら」とニヤリ笑ったようだ。

この日はマルテがファームで三塁を守った。「そりゃ(そういうケースが)ないのにやらへんでしょ。いろいろやる必要があるかなと思うし、今までのシーズンでもやってきた」。マルテは三塁? という質問に矢野はそうも話した。

大山悠輔が下半身の具合でまだ三塁守備が厳しい。ならば左腕対策として右打者を並べる場合に三塁マルテは十分、あるケース。同様に大山の右翼も十分、あり得るだろう。

「マルチ・ポジション」。これが4年間続けた矢野のポリシーだ。早い段階で「守備位置を固定した方が選手にとってはいいのでは?」と聞くと「複数ポジションを守ってもらえる方がベンチはありがたい」と矢野は話していた。

それがリーグワーストの失策数が続くことに影響しているのでは…という批判もあるし、チームに何というかどっしりしたムードが出てこない要因にもなっているかもしれない。

そうは言っても守備位置、打順、あるいはメンバー自体も昔ほどはしっかり固定しないのは現在の球界の流れだろう。後任に内定している岡田彰布がここをどうするかは、実は1つの注目点である。

いずれにせよ矢野の戦いはこのポストシーズンが最後だ。心理戦、陽動作戦も含め、当時、指揮官だった岡田が05年に発した名ゼリフ「めちゃくちゃしたれ!」の時期か…?(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)