巨人戦が終了する少し前にオリックスの優勝が決まった。この日ばかりはそこに野球ファンの注目が集まるだろうし、そうあるべきだ。すでに1週間前にゴールを決めている阪神も、この日ばかりは“主役”の座を譲って負けておくのもエエかも…などと思っていたらなんのなんの、である。
1点を追う8回に逆転だ。最後は岩崎優が締め、またしても勝つではないか。これで今季巨人戦は18勝目。虎番記者の記事にもあるが、これは巨人戦の年間勝利数としては最多。「そんなん知らんかった」と指揮官・岡田彰布は言ったが、まさに「伝統の一戦」の相手を完膚なきまでにたたきのめしたと言える。
内容、勝ち方がまた今季を象徴した。まず逆転の8回。簡単に2死になり、打順は4番・大山悠輔にまわる。そこまで1安打を放っていた大山だが、いまはやや不調。しかし、ここでフルカウントからの6球目を選び、一塁に歩いた。
そこから佐藤輝明が二塁打で続き、ノイジーが逆転適時打だ。「2死から得点」「四球がきっかけ」と絵に描いたような勝利である。これで阪神の逆転勝利は31試合目。さらに得意の1点差ゲームは26勝13敗と圧倒することになった。
これで両リーグの覇者が決定。昔なら「相手はオリックスに決まりましたが」という質問が出るところだが、現在はクライマックスシリーズがある。まだ日本一を争う相手は決まらないし、それ以前に阪神がその舞台に立てるかどうかもこの時点では分からない。
だから虎番キャップたちの質問もなかなか難しいのだ。それでも「オリックスがほぼ同じ時間に勝って優勝しましたが、パ・リーグの相手とかはどうですか?」という程度の問いはさすがに出た。それに岡田は何と言ったか。
「そんなん。まだ先やん-」。岡田はそう言うに止まった。オリックスは現役としても指揮官としても在籍した球団だ。もちろん阪神も同様。関西決戦なら、まさに“因縁の対決”となるのだがそこは難しい。あるいは前回Vの05年にボコボコにされたロッテと再戦したい思いもひょっとして…と予想したりするが、現状、明かしていない。
何より大事なのは選手のコンディションだ。「あんまり調子を落とさないように。そのへん注意しながらやっていきたい」。その通り、決戦までしばらく調整が続く日々である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)